一般編  Vol.224
相賀 ゆかさん
兵庫県神戸市出身。立命館大学で哲学、慶應義塾大学で心理学、シンガポール国立大学大学院で社会福祉学、カリフォルニア州ジョン・F・ケネディ大学大学院でカウンセリング心理学を学ぶ。1998年よりシンガポールや米国のカウンセリングセンター、学校でカウンセリングに携わる。現在は開業心理療法士としてシリコンバレーで日本人駐在員家族、移民、学生、社会人、異文化カップルなどへの心理療法、ペアレンティング、結婚、対人関係、ストレス・アンガ―マネジメントなどの心理学講座を行う。www.yukatay.com
限りなく透明に凜として
ベイエリアに来る前はシンガポールでカウンセリングに携わり、現在はシリコンバレーで心理療法士として開業されている相賀さんにベイエリアでの暮らしぶりについて伺いました。
相賀 ゆかさん

(Yuka Aiga Tay)BaySpo 1469号(2017/01/20)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 シンガポールの大学院でソーシャルワークを勉強していた時に、マリッジ&ファミリーセラピーに出会い、もっと深く勉強したいと思うようになりました。この分野が進んでいて、姉もいるカリフォルニアに移住出来れば・・・と考えていました。そのころ、ベイエリアの大学出身で日本にも住んだことのある主人に出会い、意気投合して数年後に結婚。彼がシリコンバレーの会社に転職した2001年に一緒に渡米し、その数カ月後には私も大学院での学生生活を始めました。

ベイエリアの印象
 どうやったらこの社会・世界が良くなるか、便利になるかということを真剣に考えている人が多いという印象です。世界中からそういう人材が集まってきているので、吸収したいことや刺激を受けることがたくさんありますし、何歳になっても学んでいきたいという気持ちにさせてくれます。

自分の専門分野について
 心理療法士として、人間関係の悩みや、うつ・不安、異文化での生活や職場・学校・結婚・子育てなどでのストレスを抱えた方々のために個人・カップル・ファミリーカウンセリングをしています。最近では認知行動療法やマインドフルネス認知療法を行うことも多く、状況やプロセスに応じて統合的なアプローチを行っています。そのほか、妊娠サポートグループでファシリテーターをしたり、日系ローカル新聞・ニュースレター・英字雑誌などでコラムを書かせていただいたり、日本・海外での元塾講師という経験から教育相談を受けることもあります。

その道に進むことになったきっかけ
 高校の卒業時、家族のように支えてくれた家庭教師の先生から「ユカは心理カウンセラーに向いている」と言われたことが一番最初のきっかけです。幼少期の家庭環境が複雑だったのですが、だからこそ人の気持ちが分かる、と言ってくれたその先生の言葉に救われました。あとは日本やシンガポールで塾講師をしていた時に、多くの中高校生の様々な相談にのり、もっと専門的にカウンセリングを学びたいと思ったことも大きいです。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 やはり同じ分野の仕事をしたいですが、アメリカの最新のアプローチを日本に紹介したり、日本的な視点をこちらの人に伝えるといった、架け橋的な役割をもっと積極的に行っていたかったです。

英語で失敗したエピソード
 初めて訪れたアメリカのマクドナルドで、「ケチャップ」が聴き取れず「Catch... Up?」と野球のキャッチャーのごとく、左手を何度も高々と上げてしまい、店員さんは爆笑。「ウケた〜」と自然にボケれた自分をほめました(笑)。失敗=ネタになる、でなんとか20年以上のりきっています。

あなたにとって仕事とは
 人が大好きなので、そばで応援させていただくことが仕事になるのは感謝以外のなにものでもありません。好きなことを仕事に出来て、仕事を極めようとすることで、同時に自分自身を磨き、心身を元気にするノウハウを知り、知恵を与えられ、出会う人々から多くを学ばされることも本当にありがたく幸せに思っています。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 幼少のころバレエやピアノ、歌を習っていたり、体操部にも所属していたりと、身体で表現することが好きで、サーカスかブロードウェイ・ミュージカルの一員になることを夢見ていました。

いまの仕事に就いていなかったら
 ヨガを教えたり、ピアノ伴奏をするなど、心身を健康に感性を豊かにしながら、長く、年齢を重ねても続けられる仕事を、ボランティアベースでもいいので出来るよう頑張っていたかもしれません。

休日の過ごし方
 家族と過ごすことが多いですが、最近は素敵な生き方をしている友人に影響されて、空き時間に「物を最小限にすること」に取り組んでいます。まだ使える物を売り、その収益を寄付することによって、家が片づき、モノが生かされ、人も助けられる、という3重の喜びが味わえます。

好きな場所
 サンカルロスのビスタパークという空き地のような公園なのですが、丘の上からの景色が、生まれ育った家から見える眺めに似ていて故郷を思い出し、そこに行くと原点に戻ったような気持ちになります。朝も夜もちょっとしたベイビューを楽しめ、人もほとんどいないので、私にとって秘密基地のような場所です。

最もお気に入りのレストラン
 バークレーにある「シェ・パニース」。アメリカにスローフードを広めたアリス・ウォータースのレストランですが、美味しいのはもちろんのこと、本当に身体にいいものを追及してローカルフードを大切にしようというそのコンセプトがベイエリアの宝だと思います。

よく利用する日本食レストラン
 クパチーノの「AJITO」。店員さんも親切で営業時間が長く、日曜の夜も開いているのがありがたいです。あと最近オープンした「鶴橋風月」というお好み焼き屋さんも美味しくて、忘年会に使わせていただきました。

1億円当たったとして、その使い道
 以前クライアントさんが、「ここが駆け込み寺のようにいつでも来れる場所だったらいいのに」とおっしゃったことが印象に残っています。尊敬する佐藤初女さんが、悩みを抱えた人々の話に耳を傾け、おにぎりでおもてなしをするという癒しの場所「森のイスキア」を作られましたが、そういう場所を作る資金にしたいです。

日本に持って行くお土産
 前回は、ジョンマスターオーガニックのリップクリームやハンドクリームをたくさん持っていきました。

お勧めの観光地
 サンタクルーズのビーチの近くに「Homeless Garden Project」という非営利組織のファームがあります。春になるとオーガニックのイチゴや野菜の収穫をしたり、たくさんの草花が楽しめます。それを分けてもらいながら寄付をして、家のない人々に仕事や食料を与え、助けることが出来る場所です。毎年友人と訪ねて、そこで収穫したフルーツを堪能しながらビーチでピクニックします。

5年後の自分に期待すること
 自分が長年携わっている教育とカウンセリングの分野を組み合わせて、学んできたことや、ためになる情報をもっと発信できたらと考えています。現在クライアントさん向けにのみ心理系の講座を行っていますが、将来的には一般の方が気軽に参加できるような場を作れたらと考えています。
最も印象に残っている本
 ジョン・オートバーグ著の『神が造られた「最高の私」になる』。プレゼンのプロも大絶賛するスピーチ力の持ち主のオートバーグ氏はなんとベイエリアの方なんですよ。しかも牧師さんなので、彼の素晴らしいトークを毎週無料で誰でも聞きにいけるのです。彼の教会はさすがアメリカといった感じでとてもカジュアル。提供されるドーナツとコーヒーを片手に、心あたたまるお話を聞けるということもあって、毎週ローカルの一般の方も大勢訪れていて、何か人生にヒントが欲しい時などにおすすめです。

最近読んだ本
 非営利団体のハンド・イン・ハンド・ペアレンティングを主宰している、パティ・ウィフラー著の『LISTEN』。この本のブッククラブを、サウスベイ在住のグレース・めぐみ・フレミングさんがやっておられ、私もアドバイザーグループの一員として参加させていただいています。仕事柄、色々な子育て本を読んできましたが、パティさんのアイデアは目から鱗です。

最も印象に残っている映画
 生まれて初めて観た、チャップリンの『街の灯』です。3歳の時に、映画解説者の故・淀川長治さんも通っていた、神戸の映画館でのリバイバル上映でこの映画に出会ってから、大学時代は映研に所属し、映画館でバイトするほどの大の映画好きになりました。ラストシーンはいつどこでみても必ず泣いてしまいます。

座右の銘
 「限りなく透明に凜として生きる」。何かになろうとしなくても、それはすでに自分の中にある。透明になって真実に生きていれば、それがいつか必ず真実になって表れるので、ただ毎日をまじめに丁寧に生きていく、という佐藤初女さんの言葉です。

(BaySpo 2017/01/20号 掲載)

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