一般編  Vol.322
宮下 祐介さん
横浜生まれ。高校卒業後、アメリカへ単身留学。IDEO,GoPro,The North Face、その他スタートアップで商品開発、イノベーションをリードした後、現在EagleHunterStudioの代表として、ストラテジとリーダーシップ育成に従事。スタンフォード大学講師。ミシガン大学学士、スタンフォード大学修士。
パッションを追いかけ続けたい
大学進学をきっかけに渡米後、スタンフォード大学院を経て現在は自身が代表を務める会社で商品開発、クリエイティブストラテジやデザインリーダーシップ育成に従事する宮下さん。「一度住むと他の場所には動けない」というほどベイエリアに魅せられている彼に、ここでの生活について伺いました。
宮下 祐介さん

(Yusuke Miyashita)BaySpo 1631号(2020/02/28)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 横浜生まれで普通の生活をしていた私ですが、日本の高校卒業後、ミシガン大学への留学がきっかけで1996年に渡米しました。大学卒業後の就職も含めて計8年間をミシガン州アナーバーで過ごした後、2004年にスタンフォード大学院進学のためにキャンパス内の学生寮に引っ越して来ました。それからはパロアルト、サンフランシスコ、サンマテオと移動しましたが、ベイエリアには計16年間住んでいます。

ベイエリアの印象
 一度ベイエリアに住んでしまうと他の場所に動けませんね。私はアウトドアが好きなのですが、海、湖、雪、山、谷、木に数時間以内でアクセスできるし、気候がいい。美術館、科学館やスポーツスタジアムも身近にある。世界から様々な背景を持った人たちが、大きな夢に向かって必死になっているため、エネルギーが漲っている。淘汰が激しいから、変化から生まれる刺激がインスピレーションになっています。

自分の専門分野について
 デザイン分野で、特に、商品開発、ストラテジとデザインリーダーシップの育成。

その道に進むことになったきっかけ
 大学で機械工学とインダストリアルデザインを学び、大学院ではプロダクトデザインを専攻した後、まず、数人のスタートアップでリサーチ、デザイン、開発、製造、品質管理、商品開発の全てにどっぷり浸かりました。自分が自信を持ってリードした製品でも、市場からは必然と様々なフィードバックが入り、それをいかに次の商品向上に繋げていくかという責任感から、自然と、何かを創る際の「意図」の重要性を学びました。この貴重な体験をもとに、グローバルデザイン・イノベーション会社のIDEOでは、医療器具、アパレル、体験空間、食品など様々な分野で、デザインとストラテジプロジェクトをリードしました。その他にもGoProやスタートアップなどで、「創る事」に15年以上関わってきているのですが、並行して、大学院にいた時からスタンフォード大学d.schoolで「Executive Education」(エブゼクティブ向けのデザイン思考のワークショプ)の講師として13年以上もイノベーター育成に従事してきました。デザイン分野での幅広い経験をもとに、今は独立して、EagleHunterStudioの代表として、スタンフォード大学院で教えたり、デザインストラデジとリーダーシップ育成のコンサルティングに集中しています。

英語で仕事をするということ
 英語で仕事をするということは、ごまかしがききにくいという事ですかね。遠回しな表現や曖昧な返事などでその場凌ぎなどしようとすると、逆にどんどん質問されることが多々あります。仕事の内容は様々でしょうが、英語で表現しなければいけないと、内容だけでなく、説明の仕方や相手の立場・状況をふまえないと通じない、または誤解の元になる事が多いです。伝えたい内容がはっきりしているかどうか、また、状況を踏まえて意思疎通をしているかどうかの方が、言語力よりも大切だと思います。最初は大変でしょうが、裏を返せば、世界中の人と繋がるスキルを身につけているとのことです。この可能性の拡大はものすごいものだと思います。

英語で失敗したエピソード
 渡米初日、デトロイト空港からバスを駆使して大学までたどり着いた後、夕食は何にしようかと考えていた時、親から渡されたトラベラーズチェック(笑)とクレジットカードは持っているが、現金が無い事に気付きました。1996年当時のアメリカのファーストフード店で、クレジットカード決済は今の様に普及していなく、私にとってクレジットカード使用は初めて、またATMの説明はもちろん全て英語。金曜日の夕方だったので、大学内にある銀行も週末にかけてすでに閉まっていました。知り合いはもちろんいない、英語もろくに話せない、見知らぬ人に頼る勇気もありませんでした。結局、バスの釣銭でかろうじて買ったSubwayのサンドイッチ一つだけを、金、土、日曜日にかけて食べました。月曜日の朝一に意識朦朧で直行した銀行ははっきり覚えていますが、この週末何をしたのかはさっぱり覚えていません。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 おそらく、同じ様な事をしていると思います。

あなたにとって仕事とは?
 パッション(やりたい事)を追いかける性格で、それをなんとなく続けてきて、気がついたらやりたい事が仕事になってたという感じです。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 職業(?)というか、本当にサッカーの選手になりたかったです。今でも。

現在、住んでいる家
 今はサンマテオのダウンタウンに近い一軒家に住んでいます。南北には101号線と、92号線経由で280号線にもいけるし、東西にはサンマテオブリッジ経由でイーストベイ、92号線経由でハーフムーンベイにもすぐにいけます。Caltrainの駅も近いし、空港へも15分ぐらいなので、とても便利です。

乗っている車
 普段は几帳面にメンテをしていた友人から買った中古のMazda3に乗っています。終末にはフォルクスワーゲンのEuroVanというキャンピングカーに乗って、なるべくカリフォルニアを満喫しようと心がけています。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 7時間は睡眠しようと努力しています。最近は、子供を寝かした後に私もすぐに寝て、早起きすることが目標です。なので、午前4時半とかに起きて仕事したり、本を読んだりする事もよくあります。

休日の過ごし方
 毎週土曜日、子供がサンフランシスコ日本語補習校に通っているので、送迎とボランティアで土曜日はほぼ一日つぶれます。補習校でボランティアをしない時は、Lands Endからトレールランしたり、OceanBeachで読書したりと、なるべく自分だけの時間をつくって過ごしています。日曜日は子供の付き添いで誕生日会に行ったり、プレーデートをホストしたりしています。でも時間を見つけて、キャンピングカーで家族と森や海に行ったり、科学館にいったり、大人友達との時間を過ごそうと心がけています。

好きな場所
 高台からサンフランシスコ湾を一望できるサンマテオコミュニティーカレッジの駐車場、1号線沿いにあるPescadero近くの海辺、Skyline沿いの森の中。

よく利用する日本食レストラン
 あまり外食しないのですが、サンマテオにあるKazのテイクアウトかラーメンパーラーですかね。

1億円当たったとして、その使い道
 長い旅行をするか、外国に家を買いたいですね。

日本に戻る頻度
 平均すると一年に一回ぐらいです。子供の学校の日程に合わせて、私の両親と子供との時間を作る事と、言語だけでなく日本の風習を子供が体験できる機会を作る事が目的です。

最近日本に戻って驚いたこと
 昨年でしたか、JR渋谷駅前が工事で完全にごった返し。駅を一周してしまいました。あれほど交通量の激しい渋谷駅を通常運営しながら大改造するというプロジェクト規模と複雑さ、そしてそれがある意味「普通」であること。日本はすごい!

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 渋滞。16年近くベイエリアに住んでいるので、交通渋滞の悪化が身にしみます。

日本に郷愁を感じるとき
 アメリカで「おもてなし」を稀に感じる時。何か、ニヤっとして、ああ日本ではこれが当たり前だなと思ったりします。その日本のおもてなしの意図や繊細さを考えると、日本が恋しくなります。
5年後の自分に期待すること
 目標達成のために前向きに努力している事。

最も印象に残っている本
 アメリカ大学留学を目指して勉強していた高校3年生の時、落合信彦の『アメリカよ!あめりかよ!』を友人から薦められて読んで、完全にスイッチが入った事を覚えています。

最近読んだ本
 ノーベル経済学賞受賞のDaniel Kahnemanの『Thinking, Fast and Slow』。人間の意思決定、脳、心理学の本。分厚く内容が濃いので時間がかかります。

(BaySpo 2020/02/28号 掲載)

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