文化芸能編  Vol.35
吉田 猛さん
 岡山生まれ、神戸育ち。明治大学卒業後、株式会社ホリプロにて芸能人(藤原竜也、鶴見辰吾、中尾明慶、内田朝陽、香椎由宇、高畑充希等)のマネジメント・プロデュースに携わる。英国バーミンガム大学院にて修士号を取得後、アフリカのJICA(国際協力機構)ガーナ事務所(広報担当官)、東京の外務本省、米国の在シカゴ日本国総領事館(広報担当官)に勤務後、現在勤務するサンフランシスコのエンターテイメント企業NEW PEOPLE, INC.へ。イベントプランニング・プロデュース(JPSF等)を担当。日本のポップカルチャーの米国への発信を行う。
日本のエンタメ文化を アメリカに発信
 日本で大手芸能プロダクションで芸能人のマネジメントに携わり、現在はNEW PEOPLE, INC.に所属し、日本のカルチャーをアメリカに向けて発信。きゃりーぱみゅぱみゅなどの参加で話題となったJ-POP SUMMIT FESTIVALの運営なども手掛ける吉田さんにベイエリアでの暮らしぶりを伺いました。
吉田 猛さん

(Takeshi Yoshida)BaySpo 1305号(2013/11/29)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 初めてサンフランシスコに観光で訪れたのは1993年で、アメリカには在シカゴ総領事館に勤務することになり2008年から住んでいます。ベイエリア在住は2011年からで、現在勤務するNEW PEOLPE, INC.で働くために移り住みました。

ベイエリアの印象
 光り輝く西海岸! 冬が極寒のシカゴからやってきたので特に「常夏!」なイメージがありましたが、そうでもなかったです・・・。

自分の専門分野について
 エンターテイメント(以下、エンタメ)全般です。ホリプロで働いていた頃は、主に芸能人のプロデュースを担当しました。具体的に言うと、テレビ・映画・雑誌・ラジオ・舞台などの仕事を取ってくる仕事です。担当したのは、藤原竜也、鶴見辰吾、中尾明慶、内田朝陽、香椎由宇、高畑充希などでした。私は、仕事を取ってくる役、彼らは演じる役。二人三脚でタッグを組みます。将来のロードマップを考え、時には担当する芸能人とケンカをしながら、共に仕事をしていきます。自分に海外志向があったので、藤原をNYのブロードウェイに当時の日本人としては最年少でデビューさせられたことはとても嬉しかったです。演出の蜷川幸雄氏にも大変お世話になりました。また「縁だな」と思うのですが、藤原を主演させた映画『デス・ノート』の米国配給を、現在私が働くNEW PEOPLE, INC.が行い、米国でも大ヒットを記録しました。そして、現在勤めるNEW PEOPLE, INC.では、日本のエンタメや文化、ファッションなどをアメリカ国内向けに発信することに関する仕事をしています。例えば、ファッション分野では「SOU・SOU」という京都のモダン和装ブランドの運営を行っています(一番上の写真で3人が着ています)。事業母体が小さい日本国内地場繊維産業メーカーとコンソーシアムを形成し、SOU・SOUを通じて日本ブランドを推進しているのですが、その海外展開を弊社が担当しています。あとは、今年7月に開催された日本のポップカルチャーの祭典「J-POP SUMMIT FESTIVAL」などのイベントプランニングやプロデュースも行っています。

その道に進むことになったきっかけ
 エンタメ業界に進むきっかけとなったことが3つあります。1つは、阪神淡路大震災。被害が非常に大きかった神戸市東灘区に住んでいたので、自分も家具などの下敷きになりました。「生きるために生きていた」と思うのは人生振り返ってあの時だけです。その中で、ラジオやテレビ、映画、音楽、芝居といった「エンタメ」から力を貰いました。2つ目は、今でも交流がある中学校の音楽の先生。エンタメの楽しさを教わりました。最後の3つ目は、大学時代、クラブやライブハウスでアルバイトをしていたのですが、そこでネットワークができたこと。その結果、自然と芸能業界で働くことになりました。阪神淡路大震災時から、自分が仕事をしたい分野が2つありました。エンタメ業界と国際関係・協力業界(特に貧困解決)です。前者(エンタメ業界)を先に経験し、後者(国際関係・協力業界)も経験できた今、再びエンタメ業界に戻ってきた、という流れです。

J-POP SUMMIT FESTIVAL2013を終えて思うこと
 毎年毎年多くの方々に支えられての成功だと思っています。サポートをして頂いたり、関わって下さった方、全ての方々にお礼を申し上げたいです。本当にありがとうございました。2013年は@きゃりーぱみゅぱみゅなどをゲストに迎えたユニオンスクエアライブ、Aサンフランシスコ日本映画祭、BPop Gourmet Food Festivalが新企画としてJ-POP SUMMIT FESTIVAL(以下、JPSF)に加わり、フェスの拡大ができたことはとても喜ばしいです。

来年のJPSFに向けての抱負
 新たな企画をどんどん入れて拡大させ、ベイエリアだけでなく、米国内、そして世界で注目される日本のポップカルチャーフェスにしたいと考えています。自分自身の日本の芸能界との太いパイプを最大限に活用して、日本のエンターテイメントをどんどん米国に発信していきたいと思っています。

英語で仕事をするということ
 英語を使うことは、手段ですね。目的ではない。

英語で失敗したエピソード 
 失敗談は例を挙げられないくらい多いので、苦労したことを。大学院時代(英国)、教授や学生が何について話しているか、全く分からない。ブリティッシュイングリッシュだったというのもあったのかもしれませんが「何を言っているか『全く』わからない」ということは、それまで経験したことがなくて。毎回授業のあとに、インド人の親友(学生の1人)に「今の授業を、簡単な英語でゆっくり、そして要点だけをかいつまんでもう1度やってくれ!」と頼んで、何とか1年で修士号を取得しました。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 日本で芸能人のエージェントを経験できたので、もし英語がネイティブだったら、ハリウッドスターのエージェントとかをやってみたいですね。

あなたにとって仕事とは?
 人との信頼関係で成り立つもの。そして、自分を表現するものの1つ。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 職業じゃないのですが、チーターになりたいと言っていたと親から聞きました。理由は「1番早く走る動物だから」だそうです。

いまの仕事に就いていなかったら
 国連で働いているか、日本の芸能界で働いているか、どちらかだったと思います。

現在、住んでいる家 
 ペニンスラにある1ベッドルーム、1バスルームのアパート。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 特に決まっていません。毎日バラバラですが、どちらかというと、遅寝遅起きタイプ。

休日の過ごし方
 家族と過ごします。よく寝て、よく飲んで、よく食べて、よく笑う。

1億円当たったとして、その使い道
 JPSFに投資!

最近日本に戻って驚いたこと
 秋に帰国したのですが、夏が過ぎているのに湿気が凄かったことに驚きました。

日本に持って行くお土産
 ナパのワイン。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 自分の服ですね。ほとんど日本でしか購入しません。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 飲み屋が遅くまで開いていない点です。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 今のところないです。ベイエリア生活快適!

お勧めの観光地
 チェコのプラハ。イギリス在住時代、ヨーロッパのさまざまな都市を旅行しましたが、プラハは、中世の面影がそのまま残っていて大変印象に残りました。ビールが美味しかったのも理由の1つです(笑)。

永住したい都市
 英国のバーミンガム。海外で最初に暮らした都市なので、とても思い入れがあります。英国第2の都市ですが、ほどよく田舎で、人が優しく、サッカーが人々の生活の中心。産業革命時代の運河が街には張り巡らされ、英国のヴェニスと呼ばれています。

5年後の自分に期待すること
 日本のエンタメを海外に発信するなら吉田猛しかいない! という存在になりたいです。

最も印象に残っている本
 中田英寿『誇り』、『鼓動』。賛否両論だと思いますが、彼くらい自分にストイックになれる人はいないのではないか、と思う時があります。「まだまだ甘いな、自分も頑張らねば!」と思える本ですね。

最近読んだ本
 小池澄子『はじめての離乳食』。

座右の銘
 できるかできないかではなく、やるかやらないか。

(BaySpo 2013/11/29号 掲載)

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