賀川漢方クリニックを訪れる人には、多忙で疲労がたまっているビジネスマン、生理痛・生理不順に悩む女性、スポーツでのけがを早く治したいという若い方やお子さんたち、お腹が張るといったの消化器系の症状がある方などさまざま。「同じ病名でも、体質により処方する漢方薬は違うんですよ」と賀川先生は言います。
漢方では人の体質を「実証(じっしょう)」と「虚証(きょしょう)」に分け、体力や病気に対する抵抗力の強弱などを判断するものさしとされています。ごく簡単には、実証の人は顔色が良くがっちりとした筋肉質の体型、虚証の人は顔色が悪くやせ形または水太りの体型とされています。
漢方ではまた、血が足りない・薄いことを「血虚(けっきょ)」、血液の循環が悪く滞っていることを「瘀血(おけつ)」と呼び、これらを元に、たとえば生理不順では、ストレスで気の流れが滞ることで、血の流れが滞って起きる生理不順を「実証の瘀血」、血が虚して(減って)いることで血の流れが滞って起きる生理不順の「虚証の瘀血」と呼んでいます。
そこで、体質と原因により、血虚のタイプには血を補うものを、瘀血のタイプには体の隅々まで血をスムーズに流す作用のあるものを、というように、それぞれに合った漢方が処方されるのです。賀川漢方クリニックで処方される漢方薬は中国の古典ブレンドをもとに処方する日本式で、ほとんどが飲みやすい粉薬です。
ストレスに効果的な鍼
「ストレスで気の流れが滞っているときは、鍼もよく効きます」と賀川先生。気の流れが滞っている時は、イライラしたり、頭が膨らむような頭痛、お腹の膨満感などの症状をともなうことがよくあるそうで、ストレスそのものは短時間で簡単には取り除けないので、鍼で気の流れを動かすことで、身体の不快な症状や痛みが緩和できるといいます。
鍼は急な痛みにも即効性があり、ねんざなどの場合は、安静にしながら鍼治療を週に1度、4〜5回すると治りが早いそうです。同クリニックでは日本で発明された管鍼法という短い筒に入った鍼をたたいて瞬時に挿入する痛みの少ない方法で、先生自身が使ってみて気持ちがよかったという極細の柔らかい日本製の鍼を使用しています。
どうしても鍼が怖い人や、鍼を刺さない治療がいいという人には、小さな磁石の粒にシールのついたもので耳ツボを刺激する方法がお勧め。耳ツボ刺激は脳に働きかけて不快な症状を取り除くと考えられており、タバコなどへの依存や食欲を抑える、頑固な痛みをやわらげるなどに使われています。慢性の痛みに悩んでいる方には頑固な「痛みの記憶」が出来上がってしまっていることがあり、耳にある痛みの記憶に働きかけるツボを刺激することによって改善が期待できるとされています。