静岡県にある杉本製茶は、1946年に杉本商店として創業されたお茶メーカーで、2005年にシアトルで設立したSugimoto Americaの代表・杉本恭平さんは創業者の孫にあたります。通常日本では、茶葉を栽培する農家が収穫して乾燥した茶葉、茎、粉などが混ざった「荒茶(あらちゃ)」と呼ばれる原料を作り、JA(農業共同組合)がそれを買い取ってオークションにかけ、お茶メーカーが買い付けてそれぞれの最終製品を作ります。「例えば1トンのお茶がオークションに出され、10社が買いたいと言えば、1社は100キロしか買えない、もしくは値段がどんどん上がっていくのです」と杉本さんは説明します。
そういうお茶業界の仕組みの中で、杉本製茶では1970年代から地元農家とのつながりを大切にし続け、1980年代ごろには農家から直接原料を仕入れることができるようになったといいます。「地元で優先的に買わせてもらえるので、荒茶のレベルから抜きん出ていいものを仕入れることができます」と杉本さん。その荒茶を使った美味しい杉本製茶のお茶を求めて、日本国内だけでなく、海外に住む個人からの注文が増えたこともあり、アメリカ進出を決めたといいます。
抹茶がすごいブーム
Sugimoto Americaが設立された頃は、ちょうどアメリカの緑茶ブームのはじまりで、それから10年後の今は抹茶が大ブーム。健康に良いスーパーフードの一つとして、グリーンスムージーやラテなどの飲み物に使うのが最もポピュラーな使い方で、そのほか抹茶のケーキやクッキーもたくさん市場に出ています。ニューヨークやロサンゼルスには抹茶の専門カフェも登場したそうで、「粉末ならではの使いやすさと、健康志向からアメリカはもちろん世界中で抹茶が人気なんだと思います」と杉本さん。特にオーガニック抹茶は、需要の高さに追い付けないほどの状況だそう。
Sugimoto Americaのお茶は全て日本産。ベイエリアではニジヤ、ミツワ、スルキなどで取り扱われているほか、オンラインショップでも注文することができます。オンラインショップでは煎茶、ほうじ茶、玄米茶、くき茶、抹茶などの各種お茶とティーバックのほか、ギフトセット、急須、抹茶椀などの茶器やギフトカードもあり便利。その月のお茶「Tea of the Month」ディスカウントや、杉本製茶が昔ながらの手揉み技術の保存のために作っている、貴重で高価な「手揉み茶」も年1回オンラインで販売されています。
「祖父が戦後作った小さなお茶屋から始まった当社は、クオリティにこだわり大切にしてきたので、味には自信があります。お茶が好きな方、アメリカには美味しいお茶がないと思っていらっしゃる方に、ぜひ試していただきたいです」