ビギナーからプロフェッショナルまで個々に合ったコースで学べるLily of the Valleyでは、専門家用のクオリティーの高い問屋で仕入れた花材に加え、教室の庭で育てられた約700種類のユニークな植物を使うことができます。主宰の浦田葉子先生が「問屋のありきたりな花だけではデザインの限界を感じ、植物図鑑で見た花たちに出会いたいと思って」花材の栽培を始めたのは10年ほど前。植物への愛情がひと一倍強い先生は時間をかけて土壌をオーガニックに変え、自然由来の土壌改良剤を使って丹誠込めて育てています。手間と愛情をたっぷり受けた花たちの元気なこと。お稽古で使った花材を土に挿し根付かせることを楽しむ方も多いそうで、「すごい感動ですよね」と先生も嬉しそうです。「種からのものも多く、正直買った花より時間もお金もかかります。でも生徒さんの作品を見るのが楽しくてやめられないんです」と笑う先生。「生きている植物たちには毎日変化があります。今のような殺伐とした世の中だからこそ、お花は必要だと思っています」。教室では体験レッスン(25ドル)も随時受け付けています。
オーガニックの花材は、花色が美しいのはもちろん、茎が固くて色も鮮やか、生命力が強いので長持ちするといいますが、露地栽培で避けられないのが病気や虫との戦い。「雨が降れば病原菌や虫の卵が一緒に流されて発生率も下がりますが、昨年は雨が少ないうえ、市の散水制限もあり本当にノイローゼになりそうでした」と話す先生は、大きすぎる枝や葉を切り詰めたり、虫がいると気づいたときにだけオーガニックのスプレーをしたりして、化学薬品に頼らず大切な庭を守り抜きました。以前、商業用バラ栽培での児童就労が社会問題になりましたが、農薬から薬害を受けたケースも少なくなく、その点、自然栽培のオーガニック育ちの花材は日々のお稽古にも安心して使うことができます。
人の心に訴えるアレンジは自然に近いと考える浦田先生が手がけたデザインは、繊細でエレガントなのにほっとする雰囲気。お稽古ではテーマによりますが、季節や行事に合った元気なお花を使います。教室終了後には自宅で練習するための花材を全員に無料提供という嬉しいお土産も。また、お母さんが先生になり自宅で子どもと楽しみながら制作する「親子フラワーデザイン」は情操教育にもよいと評判です。「大人顔負けになっちゃう」と先生の顔もほころぶ子どもたちの作品は、冬に花が無いときは、教室用とは別に花材を買っておくほど楽しみにしているそうです。
暇さえあれば庭に出ているという先生。「はびこってどうしようもないなと思うと枯れて姿を消したり、ビワコスメ誕生のきっかけとなったビワの木のように逆に利用価値を見せつけて切り倒されるのを防いだり・・・、植物たちには私の思いが通じるようです。やっぱり愛情が欠けてはいけないのだと実感します」。名前に「葉」がつきグリーンの日が誕生日だという先生は、花や植物のもつ大きな力を伝えるのが使命だと考えています。