気功は鍼灸や漢方と同じ中医学の治療法の一つで、Kikoh-Inの気功療法士、内藤雅哲さんは、「鍼治療で鍼を置くのと同じように、気功では手を置いて気を流して治療すると考えてもらうとわかりやすいと思います」と説明します。腰、肩などの急な痛みや、慢性的な膝の痛み、頭痛、リウマチ、風邪、インフルエンザなどの体の不調のほか、うつ、不眠症、過度のストレスなどといった精神的な症状の改善にも効果的とされている気功は、「体の治癒力を高めることができるのです」と内藤さん。
気功でいう気の流れというのは血液を循環させる力のことで、気の流れが悪いと血液の循環が悪くなり、それが痛みにつながり、体の治癒力・回復力も落ちると考えられています。気が流れるということは治癒力が回復することなので、痛みやはっきりとした症状がなくても、最近なんだか体力が落ちた、ちょっと調子がおかしいと感じた時や、体調を維持するためのメンテナンスにも気功はぴったりとされているのです。
Kikoh-Inでは、小さなお子さんから高齢の方まで広い年代の患者さんたちが治療を受けていて、赤ちゃんの風邪などにも効果がてきめんに見られるとか。治療は診療ベッドに服を着たまま横になった患者さんの患部に、内藤さんが手をかざして気を流していくというシンプルなもので、所要時間はおよそ1時間。横にならずに座ったままでも出来ます。治療を受けている間に眠ってしまう人も多いそうで、「体の内部まで届く一種のマッサージのような感じと言えばいいかもしれません」。治療後は特に何もしなくてよく、少しでも楽にして回復力が高まるようにします。
サンノゼにあるクリニックが家から遠い、身体が不自由で通うことが難しいといった患者さんの出張治療にも内藤さんはよく行っていて、サニーベール、サンフランシスコ、バークレー、プレザントンなど広い地域に患者さんがいるそうです。またベイエリア各地で行っている気功体操教室も引き続き大人気。月曜はパロアルト仏教会、火曜はサンノゼの日本芸術文化センター、水曜はサンノゼ日本町の友愛会、金曜はサンノゼ仏教会、そのほか第1と第3土曜にはオークランド、第3木曜はアルバニー・コミュニティセンターでも指導しています。どの教室も長く続けている生徒さんが多く、中には5年前に教室が始まったころから気功体操を続けて、そのころと今も外見が全く変わらないご高齢の方もおられるとか。
気功をやるようになって、「どんなことも気にならなくなって、ストレスとは無縁になった」という内藤さん。内藤さんはお母様の膝の治療で気功に出会い、気功を知るほどに引き込まれて気功療法士になったといいます。「何か困っていることがあれば、ぜひ気功を試してみてください」と、自身の体験から語ってくださいました。