その時代とリンクしながら原宿のストリートの子たちと一緒にコール&レポンスを繰り返し、一緒に築き上げてきたというのが自分の中の実感です。時代時代でアイコンとなるような子が生まれ、90年代は篠原ともえちゃん、しょこたん、千秋ちゃんだったり、今はきゃりーだったりと、自分のお店に通いに来てくれた子が時代のアイコンになっていく印象があります。
昔は西海岸のファッションは大味で、異性にモテるためのファッションが多いと思っていました。それに比べ、日本の原宿のファッションは異性にモテるようなファッションではなく、自分を満たすための自己充足のファッションが多いです。しかしファッションへの思考も時代とともに変化していき、西海岸にも自己充足のために着飾る子たちが増えてきたと感じています。実は、海外のファッションブランドやハイファッションブランドのデザイナーたちは、東京のストリートファッションに影響を受けています。レディ・ガガやケイティ・ペリー、ニッキー・ミナージュ、アリアナ・グランデなど世界のトップアーティストが僕のお店に訪れるようになってくれるほど、みんな東京のファッションの大ファンです。
少し前まではシンプルなファッションがブームとなっていましたが、世界的なハイファッションブランドなどの流れとしては、よりデコラティブになっています。無駄を省いてシンプルになっていくのと同時に、「無駄こそが心の余裕だよ」という流れが今の主流です。例えば今でいうと、テロや戦争が無くならない時代の中で人々が疲弊しています。そんな時代にリンクしてファッションが過剰装飾になっていき、僕たちのようなデコラティブなファッションが注目されてきています。
ロンドンやパリなど、どの街に行ってもたくさんの人たちが会いに来てくれたり、訪れたことのない南米でも僕の活動が知られていることを聞き、とても嬉しく思うのと同時に、日本の原宿の小さなお店で自分一人で始めたことが、これほど世界に影響を与えるほど認知され、人一人の力でこれだけ世界を変えられることを知りました。また現在、京都造形芸術大学の客員教授もしていますが、まさか自分が大学の教授になるなんて夢にも思ってもいませんでした。一歩踏み出せば未来は自分で作れるんだということをみなさんに伝えたいです。僕は世界に出たことで、日本は日本独特のルールの中で様々なことが小さい世界で完結していることに気がつきました。日本の良さを一番知らないのは日本人です。サンフランシスコの人たちも、日本の人たちも国内だけに目を向けるのではなく、世界のグローバルシステムの中で何を作れるかを考えると世界で通用していけると思います。アーティストとして今後はニューヨークを拠点にしながら、世界に自分の活動を発信していきたいです。