サンフランシスコで10年以上、「アレクサンダー・テクニーク」を教えているマットさんは自身がスポーツや音楽・演劇に携わる中で、過去に怪我をした際に「アレクサンダー・テクニーク」に出会い、体の不調を改善することが出来たそうです。「アレクサンダー・テクニーク」によってみられる効果は様々ですが、肩こりや腰痛などの身体的な痛みが軽減する、運動能力が向上する、体が思い通りに動く、姿勢が良くなる、楽に声を出せる、吃音が改善される、立つことが楽になる、表現力が豊かになる、ストレスに強くなる、本番での緊張に対応できる、気分の落ち込みから抜け出すのが早くなる、楽器が上手く弾けるようになる、プレゼンがスムーズにできるなど、様々なものがあります。
レッスンはまず自分の解決したい問題点について話をします。その後、椅子に座る、立ち上がる、部屋の中を歩くなどの動作を見てマットさんが体の癖がどこにあるのかを見ます。そこから、マットさんの手と言葉を通して自由に流れるような全身の動きを体験していきます。レッスンの最後の約15分は仰向けに寝た姿勢でリラックスしながら行われます。全身の力を抜き、自分の心身がどのように使われているかを見直して全身を協調させていくことを学んでいきます。グループレッスンも土曜日に行われており、「他人を見ることにより一人では分からなかったことが見えるので、理解しやすいかもしれません」とマットさん。
椅子に座る時にはカメラの三脚をイメージして地面に足をつけて座ります。マットさんが首と頭のポジションを調整すると、腰にかかる負担がグンと和らぎます。また、立ち上がる際にマットさんにポジションを調整してもらってから足を踏み出すと、とても軽やかに膝の負担も少なく歩くことが出来るのを実感できます。重い物を持ち上げる時に腰の痛みを感じる際には、足を関節から開くイメージで少し開きそのイメージをキープして座ります。荷物に手を沿えてその重さを手にインプットしてから持ち上げると腰への負担が減ります。ドアの開閉にも、「ドアを開ける(閉める)」という動作を頭でイメージしてからやると、手首や腕だけを使うのではなく、軽い動きだけでドアを開閉することが出来ます。
「アレクサンダー・テクニーク」は日常の動作など気付いた時に自分でも出来るので、継続的で長期的な効果が得られるだけでなく、パフォーマンス向上にも効果が得られるので、アメリカでは音楽やダンス、演劇からスポーツまで身体の使い方が結果に大きく影響する分野や、プレゼンテーションやスピーチをするビジネス分野にも「アレクサンダー・テクニーク」が注目され取り入れられているそうです。