「歩くことはいいことがいっぱい。特別な道具は何も必要ありませんし、運動神経が良くなくても関係ありません。いつでもすぐに始められて気分転換にもすごくいい」と話す伴先生。「流行のウォーキングを始めよう」と構える必要はまったくなく、時間を見つけてただ好きなように歩くだけでいいといいます。先生によると、歩くことを続けていると筋力もつくので、日常生活でのケガの予防につながるばかりでなく、代謝が上がって体温が上昇するので免疫力もアップ。病気予防の効果もあるとのこと。「日本にいるとみんなよく歩きますよね。ところがアメリカではなかなかそうもいきません。あまり構えないで、歩くことが気持ちがいいと思うことができれば続けられます」。加齢によって代謝が落ち、筋力の衰えや骨密度の低下などが起きますが、日々しっかりと歩くことでそれらの予防・解消と、高血圧症や高脂血症など成人病の予防・軽減も可能なのです。

「歩くと風を感じたり、季節の花の匂いや天気の変化に敏感になったりと、五感が刺激されます」と先生。腐りかけた食べ物や飲み物、ガス漏れを感知する「嗅覚」や、音で迫ってくる危険を察知する「聴覚」、そして「視覚」、「触覚」、「味覚」からなる「五感」。五感を研ぎ澄まして、人間が産まれながらに持っている「原始感覚」(快か不快かをききわける感覚)を引き出すことこそが、これからの健康法とする考え方も最近は広まっているようです。
不眠にもほどよい疲れは効き目バツグン。明日のことが気になって、なかなか寝付けないといった場合、先生は、「夜寝る前にいろいろ考えることが翌日に直接影響しますか? 考えすぎて眠れなくて睡眠に影響が出るだけですよね。それならその時できること(メール、テキスト、電話をする、メモに書くなど)をして眠る方がいいんです。考え過ぎて良いことは何もありません」と解説します。歩いて気分転換をしたり、ストレスが軽減されていると、「物事を一歩離れた側面から見ることもできるように。そして、歩くことが好きになったら、もっと楽しむためには筋力を上げたほうがよく、筋力アップのために早く歩いたり、長く歩いたりするようにできれば、なおいいですね」。

今年で開業28年目という先生のクリニックを訪れる患者さんは、「友達みたいな人ばかり」という先生は、「みんなポジティブで、ネガティブだった人も通ってくるうちにポジティブに変わっていく」とにっこり。患者さんには予防目的の人と、痛くなってから来る人の二通りいるそうで、「痛みを取ってください」と来る人には、どうしてその痛みが起きてるのかを説明して、自分でも考えるよう促すそうです。ゴルフやスポーツを続けるために定期的に治療を受けに来るという方も多く、先生への信頼の厚さが伺えました。