前歯の乳歯が抜けた後、なかなか生えてこないことがあります。「ほとんどの場合は3カ月、遅くても6カ月でちゃんと生えてくるので心配ないのですが、ときどき歯茎が厚くなっていたり、余分な歯(過剰歯)が顎の骨の中にある場合があります」と高橋先生は言います。過剰歯が歯にあたって正しい向きに生えるのを妨げている可能性もあるので、6カ月待っても生えてこないときは、一度レントゲンを撮って調べる必要があります。6カ月毎の検診のときに、歯科医師に相談してみてください。

乳歯に虫歯ができても、「どうせすぐに抜けるから」といって治療しないでいると、永久歯にまで影響がおよぶことがあります。先生は「虫歯が小さいうちに治療するのがベストですが、神経まで達するまで大きくなって根の先に膿がたまると永久歯に形成不全や着色が起きることもあります」と説明。また、子供の歯は大人の歯に比べてエナメル質が薄く、神経の部分が大きいので、早めに治療しないと、すぐに神経治療が必要になる場合もあるので注意が必要だといいます。
高橋先生が、虫歯予防のために「親が子供のためにしてあげられることの一つではないでしょうか」というのが6歳臼歯のシーラント。小学校入学のころに生えるので6歳臼歯とも呼ばれる第一大臼歯は一番奥に生えてくるため、生え始めに気がつきにくく、半分歯茎の下に隠れていて完全に生えるまで時間がかかることや、噛む面が複雑で溝が深く、歯ブラシが届きにくいことも虫歯になりやすい理由です。
シーラントは6歳臼歯が生えたらすぐにするのが良いそうで、大臼歯はもとより小臼歯の噛む面と、上の歯は内側、下の歯はほっぺ側にある側面の溝を覆うことで虫歯を未然に防ぎます。合成樹脂を光で固めたシーラントは、強くぶつけたりしなければ数年はもつのも特徴。「日本の歯科でもごく一般的に行われているので、アメリカに来たばかりの方でもご存知だと思います」と先生。もちろん歯磨きと、歯間をフロスする習慣を小さいうちからつけることも大切です。歯磨きは食後30分から1時間後に、唾液で口の中が中和されてからするのが歯にとってよいとされています。

通常のインプラント治療は歯を抜いてからインプラントを埋入するまで数カ月かかりますが、条件を満たすことができれば、抜歯後すぐに埋入できるのが「抜歯即時インプラント(Immediate Implant)」です。インプラントを埋め込むための十分な骨量がある、歯周病にかかっていない、術後の回復が遅くなる糖尿病などの疾病がないなど条件はありますが、手術直後から毎日取り外さなくていい仮歯が装着できるため、歯が無い期間が短く、前歯など目立つ場所にも適しています。インプラントを入れられるまで仮に入れ歯を使うより、すぐに普通に使える抜歯即時インプラントは、高橋先生の患者さんたちにも人気だそうです。