東京で生まれ5歳から8歳までをボストンで暮らし、日本帰国後はインターナショナルスクールで教育を受けた村上先生は、スタンフォード大学に進学。医学部で学び始めた頃からオフサモロジスト(眼科医)を志し「就職の地はアメリカ」と決意を固め、MDを取得後はUSC-Doheny Eye Instituteでレジデント、UCSFではフェローとして緑内障の研究と臨床を積み重ね開業しました。アメリカにおける眼科の医療体制は、オフサモロジスト(眼科医)とオプトメトリスト(検眼医)の2種類がある中、目のトータルケア、眼疾患の専門的な治療や手術を行う事が出来る日本人オフサモロジストです。
村上先生が専門とする分野は白内障と緑内障で、特に「緑内障のスペシャリストになろう」と決意したキッカケは、緑内障の発症が日本人に多く、40歳以上に5%(20人に1人)の割合で発症し、日本の失明原因の第1位であることから、バイリンガルである特徴を生かす場であると考えられたそうです。緑内障の主な原因は、眼圧が高くなることで視神経が圧迫され傷つき、視覚神経刺激の機能が低下し、視野が狭くなったり、視力が低下するなどの病気です。神経系の病気であるため治すことが出来ない病ですが、めざましい進歩を遂げているので症状を止める治療も期待できるそう。しかし緑内障は自覚症状が遅れる病気(視野が狭く感じるなど、自覚症状が出た時はかなり進行した状態)なので、40歳を過ぎたら検診を受けることを心がけ早期発見に努めて欲しいとのことでした。

健康な目・綺麗な目を保つためには「UVカット、保湿、水分補給」が欠かせません。「お肌には日焼け止めクリームを塗ったり、パックしたりと手がかけられる割に、放置されがちな目のケア。目もお肌と同じようにケアが必要ですよ!」との説明にドキッとしてしまいました。カリフォルニアの強い日差しから目を守る対策は必須で、外出時には必ずサングラスをかけ紫外線対策をして欲しい(帽子だけでは不十分!)、また乾燥した気候に加え、長時間のコンピュータやスマホ使用、コンタクトレンズの着用などによっても引き起こされる「ドライアイ」。涙の量が足りなくなったり、涙の成分が変化したりする病気で、症状が進むと目の表面に傷を伴うこともあり、目の疲れ、目の不快感など様々な症状が現れます。ドライアイの進行は、視力低下や痛み、角膜上皮剥離(角膜が乾燥して剥がれる病気)を発症してしまう事もあるので、ドライアイ予防には目のケアを心がけ、処方箋なしで手に入れることが出来る目薬(Refresh、Systane)の点眼が効果的なのだそう。

医師でありながら、今でもスタンフォード大学の研究者としての活動も続けている村上先生は、日進月歩の医学界に常にアンテナを張り巡らす努力をされています。「患者さんに長期にわたって寄り添ってあげたい」というのが医師を志した理由であると語る村上先生にとって、緑内障治療のスペシャリストはまさに天職であると印象を受けました。これを期に一度、目のチェックアップを受けてみては。