カリフォルニア州で医学部を卒業したのち、イリノイ州で3年間のFamily Medicine科のレジデンシーを経て1990年にクパチーノで開業して来年で30年。ベイエリアに暮らす家族の「かかりつけのお医者さん」として新生児から大人までの多くの患者さんと関わりを続けている岩橋先生。

「健康であることは、この上ない財産である」と語る岩橋先生は、健康とは身体の中(内臓、血管)が丈夫であることで、丈夫な内臓や血管が形成されるためには、正しい食事やコミュニケーションが重要な役割を果たしているのだと語ります。「正しい食事」とは、本来人間は草食動物でありそれを証拠に、@人間の歯は動物を仕留めるキバはなく、草食に適した歯列と臼歯があり咀嚼に適した顎を持つ。A手は動物ハンティング用な殺傷能力のある爪の代わりに、野菜や果物を採取出来るような形と機能を携えている。B胃液の量は肉食動物の胃酸に比べ20分の1程度の濃度の量である。C肉食動物は体内で毒素を作り出すので、短時間で消化・排出するため高濃度の消化器官と、体長の約3倍程度と短い腸を持つのに比べ、人間の腸は野菜や果物の養分を腸で時間をかけて吸収するため、体長の約12倍と長い。などがあげられます。このような身体の仕組みから本来草食動物であったはずの人間が、肉食化しているという現状が多くの病気を引き起こす原因と考えられているのだそう。
沖縄が日本の中で最も長寿と言われる由縁は、昔からの習慣で畑から収穫されたものを中心とした食生活を送っているからなのだそう。しかし現在のお年寄りの世代を最後に、日本で最も早く欧米の食文化が取り入れられた沖縄の長寿の形態は変わるに違いない! との話には驚かされました。
続いて「コミュニケーション」とは、ストレスを発散・軽減させるための手段のことで、再び沖縄の老人達を例に取ると、子供の頃からずっと長い間の人間関係・信頼関係が築かれているために、悩みごとを相談し合ったり、助け合う環境に恵まれている事で気持ちの健康が保たれている。歳をとっても毎日のように畑仕事をしたり海に出掛けたりと動き回り、コミュニティーがあり毎日社交があることで、朝起きる理由や生きがいに繋がり、沖縄には長寿がもたらされている。という先生のお話にうなづかされました。
颯爽としていてエネルギーに満ちた岩橋先生の佇まいは、ご自身の食生活に気を配り菜食を中心とし(ベジタリアンな訳ではない)、適度な運動を心がける生き方の現れなのだと説得力に溢れていました。これを期に毎日の食生活を見つめ直し、家族のため、自分自身のため、少しずつ「正しい食事」への改善のキッカケを試みてはいかがでしょうか。