乳がんについて知る
セルフケアと定期検診を
 BCネットワーク
2005年にニューヨークの日本人女性によって設立された米国認定非営利団体「BCネットワーク」は、乳がんの早期発見啓発や最新治療情報を日本語で広く発信しています。毎年日米の都市でイベントを開催し、昨年末にはベイエリア支部を発足しました。(*1)
 
 米国に住む日本人と乳がん 
 BCネットワークでは9月22日にロサンゼルスで乳がん早期発見啓発セミナーを行いました。その講師を務めたCedars Sinai Medical Center Department of Surgery、順天堂大学・乳腺腫瘍科の猪狩史江医師に乳がんの「いろは」について伺いました。猪狩医師は、乳腺外科医として乳がんの診断から治療まで行います。
 猪狩医師によれば、乳がんは世界的に見ても女性のかかるがんで第1位、女性のがん罹患全体の約20%を占めます。乳がんに罹患する人は日本人で11人に1人とされ、罹患率・死亡率ともに増え続けているそう(*2)。さらに、気になるのは米国に住んでいると、日本に住むよりリスクが高まるのかということ。「報告例は少ないですが、2007年に報告された論文で、日本在住の日本人は、閉経後に乳がん罹患率の減少が見られる一方、米国在住の日系人は、欧米人同様閉経後も罹患率の上昇が見られました。つまり、何らかの環境因子が関わっていると示唆されます」と猪狩医師。やはり、米国に住む私達は、その点を意識した上で生活していく必要があるようです。

 早期発見のための検診 
 女性で最も罹患率の高い乳がんですが、早期発見すれば高い生存率を得られるがんでもあります。猪狩医師も「自覚症状がないうちに、早期発見することが大事です。そのためにはご自身での定期的なセルフチェックや検診受診が必要です」と訴えます。検診の第一の目標である死亡率減少が科学的に認められていることから、乳がん検診は40歳以上の症状のない女性で、2年に1度マンモグラフィー(MMG)検診を定期的に受診することが推奨されています。その他、超音波検査、視触診があり、それぞれの検査の特徴を理解した上で、受診することが重要です。

 予防のために知っておきたいリスク 
 猪狩医師は、乳がんリスクの要因について「初潮年齢が早く、閉経が遅い、出産経験がない、閉経後のホルモン補充療法(更年期障害を改善するため女性ホルモンを補う治療)などが挙げられます」と説明します。また、「家系内に乳がんの患者さんがいる方、特に近親で、発症人数が多いほど乳がんの発症リスクが高くなると言われています」とも。その上で、「一般的に乳がんの患者さんの多くは、食生活などの環境因子が主に関係しています。禁煙、アルコール摂取を控えること、適度な運動を行い、肥満を予防することが生活習慣改善による乳がん予防の観点で重要だと思います」と話してくれました。

 最後に猪狩医師は、情報は「『日本乳癌学会 患者さんのための乳がん診療ガイドライン』(金原出版刊)がわかりやすく、インターネットでも閲覧可能ですのでご参照ください」と教えてくれました。「海外在住中は病院受診もハードルが高く感じられると思いますが、ご自身の大切な人のためにと思って、セルフケアと定期的な検診を受けるよう心がけましょう」(猪狩医師)

*1 29日セミナー協賛:Novartis Pharmaceutical, Genomic Health, Genentech, JAMSNET
*2 出所:国立がん研究センターがん情報サービス「がんの統計 '18」

(BaySpo 2019/09/27号 掲載)

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 【Eメール】office@bcnetwork.org
 【ウェブサイト】https://bcnetwork.org

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