まずは信頼できる家庭医に

　調子が悪い時や怪我をしてしまった時など、日本では自己判断で診療科を選択し、そこで診察を受ける習慣がありますが、アメリカではまず家庭医（ホームドクター）に行って診てもらうのが一般的。対応している症状はとても幅が広く、例えば風邪による高熱などから、「手首をひねった」、「膝が痛い」、「目が赤い（ピンクアイ）、痛い」といったもの、アレルギーや湿疹、中耳炎から妊娠検査まで、身体の不調や不安に関して（医師、医院にもよりますが）一通りの診察を受けることができます。疾患や異常の有無を見極めるエキスパートとして、家庭医は「薬を処方すれば大丈夫なのか。本当に専門医の処置が必要なのかを判断する役割を担っています。」と同院・院長の紀平先生は話します。アメリカでは内科や外科と同じ様に「ホームドクター/Family practice」という専攻があり、「産まれてから死ぬまで」の方が対象。中でも紀平先生は日本で整形外科医として勤務されていたこともあり、同院ではレントゲン撮影も可能です。
　家庭医が診察して専門性の高い病態と判断した場合に紹介するのが専門医。そのため「友達から専門家を教えてもらったので紹介状を書いてください」というはNGです。紀平先生によると、保険のネットワーク内だからと直接電話しても軽症だと受け付けないケースもあるそうで、万が一受診できたとしても高額な請求が想定されるそう。スクリーニングを行う家庭医は医療費を抑える役割も果たしていると言えます。

診察は電話予約が必須

　日本でも徐々に診察予約は浸透しつつありますが、病院の待合室にはウォークインの患者さんの行列がズラリなんて光景はまだまだ目にします。しかし、アメリカではとりあえず病院に行って順番を待つ、なんてことはありえません。アメリカの受診システムは予約制のため、事前に電話での予約が必須となります。その点、同院は受付も日本語対応、スケジュールが調整できれば当日予約も可能とのこと。「身体の不調を感じる時はもちろん、『受診したほうがいいのかな』と不安に思う時も、その心配を明確化するためにも一度診察に来てください」と話してくれました。

健康診断や日本の保険に対応

　クリニック内には診察室のほか、レントゲンや超音波（エコー）、聴力検査などの設備を備えており、院内で胃バリウム検査を含む日本の労働安全衛生法に則った定期検診や人間ドックが受診可能です。日本の厚生労働省が定める検査項目は非常に多く、アメリカでは受けられない検査や、受けられても高額な実費を求められることが多いとあって、ベイエリアはもちろんオレゴンやアイダホなど他州からわざわざ検査に訪れる方も多いのだとか。受けられる検査や料金などは、同院のウェブサイトにて確認することができます。
　その他、日本語での書類発行が必要な保険各種や申請用の健康診断書類などの対応も行っています。旅行者はもちろん長期滞在の方でも入っていらっしゃることの多い海外旅行保険や、日本の社会保険、医療保険の診断書作成、アメリカから日本の学校や企業に入学、入社する際に提出を求められる健康診断関連の日本語規程書類など、日本と同等のサービスを相談できるのは、とても心強いですね。

予防接種の必要性

　アメリカでは医療費が高いと言われる一方で、予防接種が保険でカバーされていることも多いそう。「インフルエンザは冬の時期だけでなく昨年は5月に再流行した。罹ってしまった時の症状を軽くするためにもに今からでも遅くないので、予防接種を受けて欲しい」と紀平先生。その他、全年齢対象の「百日咳」や50代以降の方が対象の「帯状疱疹」の予防接種などが多いとのこと。健康管理の一環として、予防できるものは一度、先生に相談してみてはどうでしょうか。