NASAで微生物の宇宙利用を研究する科学者と、鍼灸師という2種類のキャリアを持つ賀川先生。COVID-19(以下コロナ)にもたらされた日常の変化は様々で、鍼灸師としてクリニックを経営する賀川先生にとって多くの対応が強いられる中、「医師と患者さん双方の安全確保を第一に!」と、徹底した感染予防対策を実施することで、ある意味新しいクリニックに生まれ変わっていました。具体的な対策として非接触で対応できることを積極的に取り入れ、オンライン診療、キャッシュレス、漢方薬処方等を郵送で対応するなど、接触時間を短縮する工夫を導入されているのだそう。特に初診の患者さんへの対応は、問診票記入とコロナ対策の質問への回答をメール(Docusign)で受け取ること(ステップ1)で、問診票から患者さんのバックグラウンドを把握した上で、オンライン診療(ステップ2)を行います。オンライン診療では顔色はどうか? むくんでいないか? 会話による声のハリなどから患者さんの状況を診断し、漢方薬の処方や自分で出来る鍼など家庭で出来るケアをアドバイスしたり、施術が必要な患者さんとのアポイントを取り付ける(ステップ3)手順を踏むことで、施術以外をすべてオンライン化する環境が確立されていました。直面する現実と冷静に向き合い対処する賀川先生は「コロナ禍の厳しい状況ではあるけれど、将来に繋がるいいチェンジを得られていることも事実なのよね。」と苦笑い。
またクリニック内の換気を促進するため新たに2台の扇風機を設置したり、診療ベッドの上には使い捨てのシートを敷き、施術にあたる賀川先生はマスクはもちろんのことフェイスシールド、使い捨てのグローブ・スリーブ・エプロン着用で対応しています。施術後は30分ほど時間をかけて消毒を行うために予約の間隔も長めに取っているなど、対応の一つ一つから、患者さんが安心して通えるクリニックであることを物語っていました。
痛みや不調をかかえた患者さんに、鍼灸によるアプローチで症状を和らげたり体質改善を促す施術を行う賀川先生ですが、コロナの影響で来院を躊躇する患者さんには、手始めとして自宅で使えるシールに極小のマグネットや植物の種が付いた「耳つぼ鍼」や、先が尖っていない鍼がついたシール「置き鍼」でツボを刺激し続ける「鍼を刺さない鍼治療のやり方」を、オンライン診療で対応しているそう。耳つぼ鍼、置き鍼、漢方は患者さんの自宅に郵送で届けられるので、便利で安全と喜ばれているそうです。クリニックに行かずして体調が改善したとの患者さんの声も多く寄せられるのだとか。
日本式の漢方は漢の時代に書かれた中国の古典のブレンドを元に処方されています。その効果と安全性は2000年以上試され証明され続けているので、重篤な副作用が出ることが少ない上に、効果の確率が高いことから、賀川先生は日本式の漢方を扱っています。患者さんの体質やその時の状態などを総合的に判断して、患者さん一人ひとりにあった処方がされる漢方は、身体が治そうとする力を助ける働きをするため、他の症状が改善されることもあるそうです。