「歩くのはいいことがいっぱい。感覚神経がよくなるし、筋力がついてくるのでケガの予防にもつながる。代謝が上がり体温も上昇するから免疫力がついて病気も少なくなります」と話す伴先生。歩いていると脳も活性化するので、先生は考えをまとめて問題を解決する時間に充てていると言います。
「この辺りではあまり見かけませんが、いいですよ」と先生が実践しているのが「ポールウォーキング」。2本のポールを持って歩くだけという手軽さで高い運動効果が得られるので、老若男女問わず楽しめるエクササイズとして注目されています。身体の90%の筋肉を使う運動というだけあって、ポールを持って姿勢を整えるだけでも上半身にぐっと力が入るのがわかります。「足の筋肉と同時に上腕三頭筋や胸筋など上半身の筋肉も使い、コアマッスルや腹斜筋が強くなる運動というので興味を持ったんです」。ポールの支えがあるのでジョギングに比べ膝などの関節に優しいのも年齢問わず楽しめる理由のひとつです。
大股で早歩きができるのもポールウォーキングのメリット。敏しょう性があがるうえ、骨盤が大きく動くのでコアマッスルが刺激されシェイプアップにも効果的だそうです。座っている時間が長い現代人は大腰筋が収縮し歩幅が狭くなりがちなので「早く大股で歩き意識して筋肉を使うのも重要なエクササイズ」と先生は言葉に力を込めます。
学生時代はスポーツマンだったのに多忙で辞めてしまった人や「エネルギーのある時は睡眠削ってでもやりたかった活動が、加齢とともに億劫に感じるようになる」という伴先生の言葉に共感する人も多いのでは?「ポールウォーキングはひとつのチョイス。ポールが手元にあることで続けるきっかけになるかもしれませんよ」。押し付けるのは嫌いだからと笑う先生は身体に応じてやりましょうというのが信条ですが、「何でも2週間続ければ癖になるんですよ。だから患者さんにも2週間は何とか頑張ってくださいと伝えています」。また、億劫さと戦うのはストレスなので「これは面白いなあ」と楽しくやるのも大事だと話します。
生活環境は個々違えども、新生児からお年寄りになるという過程をたどるのは皆同じ。加齢とともに柔軟性がなくなるとバランス感覚も衰えるし、筋力が落ちると自分で身体を支えられなくなってしまいます。伴先生は「ゆるやかに老化するのが理想です。そのためにも柔軟性・筋力・バランス感覚の3つは総合的に保ちましょう」とアドバイス。先生は武道家としてもキャリアを積んできましたが長年の疲労が重なり半年前に膝を手術。今までと異なる自分の身体と向き合ってリハビリを試行錯誤している時にポールウォーキングと出会いました。「長く健康でいるためには、関節に優しく、無理せず代謝を維持できて、柔軟性・機敏性・バランス感覚・筋力すべてを使うエクササイズがおすすめです」。繰り返し出てきた「歩くっていいですよ」という先生の言葉には健康に対する感謝の念がにじみでていました。