2016年度新規H―1Bビザは、2015年4月1日より申請受付が始まります。2015年度は、申請受付より1週間で年度枠(6万5000)に達し、締め切りとなり、抽選となってしまいました。申請者数は最初の1週間で17万を超えました。2016年度も最近の景気状況を見ますと、2015年度と同じように、早い時期に年度枠に達すると予想されます。申請者数が枠を超えた場合でも、最初の1週間は受付されるようになっております。この1週間には申請書が確実に到着するよう、早めの準備を心がけたいものです。今号では2016年度新規H―1Bビザの条件、申請手順、注意点について説明していきます。
H―1Bビザは、専門職ビザで、4年制大学卒業資格が最低条件になっています。米国の大学だけでなく、海外の大学卒業資格でも可能です。しかし、海外の大学の卒業資格を利用する場合は、H―1Bビザを申請する前に、米国の学歴評価団体より、米国の大学と同等の資格を得たという証明を貰う必要があります。
H―1Bビザの専門職の例ですが、会計士、エンジニア、医師、弁護士、教師、科学者、編集者、建築士、インテリアデザイナーといったような職業があります。新規H―1Bビザは年度ごとに申請の枠があり、6万5000となっています。また、この枠とは別に、米国の大学院またはそれ以上の資格のある方には、2万の枠が別途設定されています。H―1Bビザ申請は、米国の雇用主が主たる申請者になります。
H―1Bビザ申請で肝心な点は、申請者の大学の専攻と雇用主での職務が相当関連している必要があることです。関連性がない、あるいは薄い場合は、許可をとるのが難しくなります。また、H―1Bビザ申請では、雇用主が、その地域のその職の平均賃金またはそれ以上の額を支給することが義務付けられています。
H―1Bビザの申請の手順ですが、まずは、連邦労働局よりLCA(労働条件許可)を取得し、その後、移民局へH―1Bビザ申請書を提出します。移民局申請書には、雇用主のサポートレター、移民局専用フォームI―129、LCA、大学の卒業証明といったような書類が含まれます。この申請書に移民局手数料を添え、指定の移民局サービスセンターへ送付します。LCAの取得には、1〜2週間要します。4月1日より申請受付が始まりますが、申し込み者が相当多いと予想され、最初の1週間で受付終了の可能性が高いです。ですので、4月はじめには、申請書を提出できるよう、LCAも3月中の早めの段階で手続き、取得しておくことが肝心と思われます。
移民局の審査時間ですが、近年、非常に時間がかかるようになってきており、申請書提出より6ヶ月近くかかることもあります。ただし、移民局特急審査を利用すれば、審査時間をだいぶ短縮することが可能です。
2016年度新規H―1Bビザについては、2015年4月1日より申請受付が開始しまずが、実際、H―1Bの資格で働き始めることができるのは、2015年10月1日が最初の日になります。米国に滞中のF―1留学生が、大学卒業後のプラクティカルトレーニングを受けている場合で、新規H―1Bビザを申請する場合は、特別な取り扱い規定があります。通常は、プラクティカルトレーニングを受けている場合は、その滞在期限までしか、米国に留まることができません。しかし、新規H―1B申請書を移民局へ提出した日において、プラクティカルトレーニングの期限が有効であれば、その後、その有効期限を過ぎても、審査の間は、プラクティカルトレーニングが延長扱いとなり、合法滞在となり、審査結果が出るまで労働できます。
新規H―1Bビザは、どれほど申請者の数が多くても、4月1日より1週間の間は、受付されることになっています。その1週間の間に6万5000を上回った場合は、抽選になり、当選した人には、申請書受領書が移民局より送られてきます。抽選に漏れた場合は、申請者に申請書一式が戻されてきます。
2016年度も短期間の間に多くの申請があることが予想されますので、なるべく早めの時期より申請準備に入ることをお勧めいたします。