F―1ビザ(学生ビザ)で米国の大学に留学している留学生の多くは、卒業後、職場実習(プラクティカルトレーニング)を受けますが、プラクティカルトレーニング終了後、引き続き米国で就職を希望する場合、よく利用されるビザは、H―1Bビザ(専門職ビザ)です。今回は、プラクティカルトレーニングからどのようにH―1Bビザに切り替え、働いていけるかを説明していきます。
プラクティカルトレーニングは、米国留学生が、短大、4年制大学、または、大学院卒業後、米国企業で給料をもらいながら、実務研修が受けられる制度です。その留学生が学校で専攻した分野と関連した職務に就くことが条件になっています。通常期間は12ヶ月ですが、科学、技術、工学、数学を専攻した人は、その12ヶ月に加え、17ヶ月の延長も可能です。
プラクティカルトレーニングからH―1Bへの切り替え |
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H―1Bビザは、最低条件は、4年制大学を卒業していることです。ですので、新規H―1Bビザは、4年制大学、あるいは大学院を卒業した人が申請できます。申請書は移民局へ提出しますが、申請受付は、毎年4月1日より始まります。ですので、プラクティカルトレーニングで実務研修を受けている場合で、その後継続して米国で働く場合は、4月1日以降に申請書を送り出す必要があります。4月1日が受付の最初の日ですが、実際に、H―1Bの資格で働くことができるのは、早くてもその年の10月1日からになります。
プラクティカルトレーニングの有効期限が、少なくともその年の9月30日まであれば働くことができない空白期間は生じません。しかし、4月1日から9月30日の間にプラクティカルトレーニングの期限が来てしまう人については、空白期間が生じます。以前の制度ですと、これに該当する人については、継続して働いて行く手段がありませんでした。しかし、近年、移民法の新規H―1B申請に関しての規則が改められ、一定の条件を満たせば、9月30日前に有効期限が切れても継続して実務研修を受けられるようになりました。
その一定条件ですが、4月1日以降、申請書を提出する時点で、プラクティカルトレーニング期間が有効であれば、その後申請結果がでるまで、あるいは、9月30日までは、継続して実地研修を継続することが可能です。この一定条件に該当する人は、申請後、学校のDSO(Designated School Official)へ通告する義務があります。
2015年度新規H―1Bビザ申請は、2014年4月1日に申請受付が開始されましたが、わずか1週間で受付終了となりました。理由は、申請者が、H―1B所定の割当数を大幅に上回ったためです。その結果、受付終了後、抽選が行われ、多くの方が、抽選漏れとなりました。2016年度は、2015年4月1日より受付が始まりますが、2015年度と同じような形になる可能性が十分あります。そうしますと、わずか1週間の受付期間が想定されますので、その期間内に、確実に受付されるよう、書類の準備は早めに行うことが肝心と思われます。