雇用ベース永住権とLabor Certification
 米国の雇用主が外国人を長期間雇用する場合、永住権申請書を米国移民局へ提出し許可を受ける必要があります。しかし、その移民局申請前に、米国連邦労働局よりLabor Certificationを取り付けて置く必要があります。今回は、申請手順が複雑なこのLabor Certificationについて、説明いたします。

 Labor Certificationとは 

 Labor Certification(労働条件許可)は、連邦労働局により発行されますが、この発行により、雇用主は始めて外国人を長期間雇い入れるための申請をすることができるようになります。雇用ベース永住権は、雇用主が米国移民局へI―140という申請書を提出する必要がありますが、この申請書に労働条件許可を添付する必要があるのです。この労働条件許可を取得するための申請をPERMといいます。労働条件許可は、雇用主がその職にあった条件の米国人労働者を探したが、適当な米国人労働者が見つからなかったということと、外国人を雇用したことが、その地域の同じ職に就いている米国労働者の賃金水準や、外の労働条件に悪影響を与えないということを証明する必要があります。
 この労働条件許可ですが、この許可だけでは米国で働くことはできません。働くためには、I―140の許可が必要になります。それでは、具体的にどのようにPERM申請を行い、許可を受けるかを見て行きましょう。

 PERM申請の手順 

 雇用主が外国人を雇う際、給料を設定しますが、この給料はその地域の同じ職の平均賃金と同じ額か、それ以上になる必要があります。この平均賃金は、連邦労働局の賃金情報に従います。雇用主は平均賃金の調査依頼票を連邦労働局へ提出します。平均賃金情報を取得する時間は、2カ月程度必要になります。予定の給料が平均賃金を下回れば、PERM申請をしても許可を受けるのは難しくなります。
 予定の給料が問題ない場合は、雇用主は米国労働者用の求人活動を行います。これは米国人労働者に雇用の機会を与えるためです。具体的には、様々な求人の媒体に求人広告を載せ求職者を募ります。4年制大学卒業資格が必要な専門職とその他の熟練技能者の職では、求人広告の回数が違ってきます。熟練技能者はその業界で少なくとも2年以上の実務経験を持っている人を指します。専門職については、すくなくとも5回の求人広告を出す必要があります。例えば、その地方の主要な新聞の日曜版に2回、業界誌、インターネットの求人広告サービス、会社のウェブサイトに1回ずつといったような形です。熟練技能者については、その地方の主要な新聞の日曜版に2回出せばいいことになっています。
 求人活動の証拠ですが、PERM申請の数カ月前のものを活動の証拠として利用できます。PERM申請の日より遡り180日を超える求人広告については利用できません。
 求人活動が終了し、その結果、適当な米国人労働者が見つからなかった場合に限り、PERM申請を行えます。この申請はインターネットで行うことができ、求人活動情報の他必要な情報を入力しますが、瞬時に申請は完了します。連邦労働局はPERM申請を受け取れば、その後審査に入りますが、ケースにより審査時間はまちまちで、もっとも早いものは2カ月程度で許可になる可能性がありますが、審査途中で質問が来る場合も多く、この場合は6カ月を超える審査時間になることも珍しくありません。PERM申請が許可になれば、雇用主はI―140永住権申請を移民局へ行うことができるようになります。
 PERM申請は平均賃金情報取得からPERM申請許可取得まで手続きが複雑ですので、経験のある移民法弁護士に相談したほうがよいでしょう。

(BaySpo 2015/06/19号 掲載)
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