米国での事業活動とビザ
 外国人が米国で事業を開始する場合、まずは市場調査をし、事業の成功の可能性が強ければ、会社を設立し、米国の事業を行う場所に事務所を開きます。このように事業を開始する場合、どのようなビザが必要になるでしょうか? 今回は、米国で事業を開始するための適切なビザについて説明していきたいと思います。

 B―1ビザ 

 米国で事業を開始し、その会社で働くには労働ビザが必要になりますが、その前の準備期間については、どういうビザが適当か、よく日本の投資家より質問を受けます。上記で説明しましたが、準備期間には、市場調査、会社設立、事務所開設という活動が入ってきます。このような準備活動の時期はB―1ビザが適当です。B―1ビザは、出張、商用、会議出席等に用いられますが、投資活動、事業所開設準備にも利用できます。
 B―1ビザは米国大使館に申請し面接を受けます。面接で許可になると、多くの場合5年ないし10年間有効の許可をもらえ、その有効期限の間は何度でも米国へ渡航することが可能です。米国での1回あたりの最大滞在日数は6カ月になり、必要性があれば1回に限り滞在延長も可能です。このB―1ビザのよい点は、最長6カ月間米国に滞在できることです。市場調査、会社設立、事務所開設には時間がかかります。6カ月あれば、かなりの活動をカバーできると思われます。しかし、もし6カ月も滞在期間が必要ない場合は、ノービザ(ビザ免除プログラム)の利用も可能です。ノービザは、米国大使館での面接を経る必要がなく、旅行の前にESTA(認証システム)で認証を受ければ、すぐにでも渡航可能です。ESTAはインターネットでの手続ですので、それほど手間はかかりません。ノービザは渡航目的はB―1と同じです。1回あたりの最大滞在期限は90日で延長はできません。様々な活動が必要になる場合は、B―1ビザを取得した方が便利です。

 Eビザ 

 準備活動が終了し、事業を開始する段階になりますと、今度は労働ビザが必要になってきます。米国で投資し、事業を開始するために適したビザは、E(投資)ビザです。Eビザは投資家も取得できますし、米国の会社の従業員になる外国人も取得することが可能です。Eビザは、B―1ビザと同じく米国大使館に申請します。
 Eビザを申請する際の条件については以下のとおりです。米国の会社がビザスポンサーになりますが、その米国の会社の株の少なくとも50%を外国人が所有する必要があります。例えば、米国の会社が日系の場合、日本在住の日本人の投資家あるいは日本の会社が、米国の会社の株を50%以上所有する必要があります。投資に関しては、その事業にふさわしい十分な額の投資が求められます。どのくらいの投資が必要かどうかは、ケースバイケースで細かく分析する必要があります。Eビザは、米国の労働者の雇用促進も求められます。一方、Eビザ申請者個人についてですが、先に説明したとおり、投資家の他に、米国の会社の従業員になる予定の人が申請できますが、管理職、特殊技能、技術職に限定されます。申請者は、その会社の国籍と同じである必要があります。投資家については、事業を運営できる経験、能力を持っていることを証明する必要があります。株主ではあるが、経営能力がないというのであれば、ビザを取得するのは難しいでしょう。また、管理職、特殊技能、技術職については、同じ業界での相当の実務経験が必要になります。
 なお、日米間に親会社、小会社という関係ができている場合は、Eビザの他にL―1(転勤者)ビザの可能性も出てきます。

(BaySpo 2015/08/21号 掲載)
有澤保険事務所

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