米国での新規事業とビザ
 当事務所には、年間を通し、新規で米国で事業を行うためにはどういうビザが適当かという質問をよく受けます。とくに最近は、IT系の企業からの問い合わせが多くなっています。外国の企業が米国で事業スタートする場合に用いられる典型的なビザは、L―1(国際駐在員)ビザとEビザ(投資家)になります。今号では、それぞれのビザの特徴を説明いたします。

 L―1ビザ 

 L―1ビザは、国際企業の駐在員に利用されます。外国の親会社より、米国の小会社へ社員を転勤させる場合、よくこのL―1ビザが用いられます。L―1ビザは、さらにL―1AビザとL―1Bビザに分かれます。L―1Aは管理職や役員に、L―1Bは特殊技能者に利用されます。
 L―1A、L―1Bの個人の条件ですが、過去3年間に1年以上親会社に勤務している実績が最低必要になります。L―1Bは、特殊技能者が申請できますが、エンジニア以外はなかなか許可されづらいのが実情です。会社の条件としては、海外と米国に親子会社がある必要がありますが、米国の会社は新設でも構いません。例えば、米国支店の登記は、数カ月前に終了し、支店の準備も整ったので、まもなくL―1ビザ申請したいという形でも構いません。
 L―1ビザ申請は、移民局を通して行いますが、必要な主な資料は、親会社の決算報告書、会社登記簿、米国支店の登記の証明、事務所所在の証明、申請者個人の実務経験証明といったものになります。移民局の許可が出れば、その許可書をもとに後日、米国大使館でビザスタンプの申請が必要となります。

 Eビザ 

 Eビザの条件として、まずは、申請者(会社およびビザ申請者)の属する国が、米国と通商条約を交わしていることが必要になります。日本も米国と通商条約を交わしているので、Eビザを申請できます。
 Eビザも、さらにE―1ビザとE―2ビザに分かれます。会社が貿易の事業を行っている場合は、E―1に該当し、そのほか、サービスの提供、小売、投資等を主に行う事業については、E―2ビザが該当します。Eビザ申請者は、投資家だけではなく、従業員(管理職、特殊技能職)にも発行されます。
 E―1ビザは、設備投資よりも貿易額および貿易量を重点的に審査されます。どのくらいの貿易量が必要というような絶対的な基準はありません。しかし、ビザ申請者個人、またはその人の家族の生計を維持する程度の規模ということになれば、ビザ取得は難しいでしょう。貿易は、主に日米間で行われている必要があります。 
 E―2ビザについては、投資について重点的に審査されます。投資額については絶対的な基準はありませんが、その事業を進めていくための十分な投資であるということが要求され、さらに、米国の現地の雇用を生みだすことも求められます。
 Eビザは、移民局申請ではなく、米国大使館に直接申請できます。その会社から初めてEビザを申請する場合は、まず、Eビザとしての会社登録を米国大使館にする必要があります。この登録事務に6〜7週間かかります。

 以上、米国で事業を始める際の適当なビザについて説明してきましたが、ケースごとの細かい分析が必要ですので、国際企業の進出について詳しい移民法弁護士に相談することをお勧めいたします。

(BaySpo 2013/10/18号 掲載)
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