米国で永住するためには、米国永住権(グリーンカード)を取得する必要がありますが、多くは、雇用主がスポンサーになり申請する方法と、家族の呼び寄せによる方法で永住権を取得します。今回は、雇用による永住権について説明しますが、5つの区分があります。以下、細かく見ていきましょう。
EBー1は、優先就業者と呼ばれる枠で、年間4万人の枠があります。優先就業者とは、その業界でトップクラスの業績を残している人のことを指します。科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツの専門分野でトップクラスの業績を残しているひとがこのEBー1枠で申請できます。また、これとは別に、国際企業の管理職もEBー1で申請できます。
申請方法ですが、雇用主は、Iー140という申請書に業績を裏付ける書類を添付し、移民局へ送付して行います。申請者が米国に一時滞在ビザで滞在している場合は、米国に滞在したまま、永住権に切り替える方法を選択できます。この切替は、Iー485という申請になります。Iー485申請の際、労働許可を取得できます。EBー1は、ほかの順位に比較し審査時間が短く、順調に行けば、申請より1年以内での取得も可能と思われます。
EBー2は、大学院以上の卒業資格を有している人で、専門職、研究職(ビジネス、研究、芸術、文化、教育)に就く場合に利用できます。EBー2も年間4万人の枠があります。このEBー2では、Iー140申請の前に、連邦労働局へのAlien Labor Certification(PERM申請)という申請が必要になります。このPERM申請ですが、これは、連邦労働局に給料や労働時間等の労働条件が労働局の規定に合っているかどうか、審査してもらうためのものです。米国で一時就労ビザで滞在している場合は、Iー485申請で滞在資格を切り替えていくことが可能です。このEBー2ですが、通常の条件とは別に、National Interest Waiverという申請ができます。これは米国の国益(ビジネス、芸術、教育、文化等の領域)になる活動をしている人のための申請です。この申請を行う場合は、PERM申請は必要ありません。EBー2は、永住権取得までの時間は、概ね1年〜2年になるでしょう。
EBー3は、4年制大学卒業資格が最低条件で、専門職に就く場合に利用できます。たとえば、学校の先生、会計士、編集者、インテリアデザイナーといったような職です。また、EBー3は、技能職の人も申請できます。2年以上の実務経験が最低条件となっています。EBー3の年間の枠は4万人です。EBー3は、EBー1、EBー2に比較し、非常に申請者が多く、4万人枠を超えることがよくあります。その結果、待ち時間が生じ、永住取得までだいぶ時間がかかる場合が多いです。EBー3もPERM申請が必要になります。その後、Iー140をします。米国に一時就労ビザで滞在している場合は、Iー485申請で資格を切り替えていくことができます。永住権取得時間は2〜3年ですが、申請者が多い時期は、5〜6年かかることも珍しくありません。
EBー4は、宗教職で米国の宗教団体で働くためのものです。外国の宗教団体で、僧侶、牧師として勤務していた実績が2年以上必要になり、米国の関連団体で勤務することが条件です。EBー4は、PERM申請の必要はありません。申請はIー360という申請になります。永住権取得までの時間は、1〜2年が予想されます。
EBー5は、投資による永住権です。相当額の投資をし、米国での雇用を産み出す必要があります。最低100万ドルの投資をし、10人の米国労働者を雇用するということが条件です。ただし、米国内で失業率の高い地域では、50万ドルの投資で済む場合があります。
雇用ベース永住権申請を進める前に、まずは、自分の経歴を分析をし、どの区分に該当するかを決める必要があります。なかには、複数の区分に該当する人もいるかもしれません。どの区分が一番効果的か、細かい分析が必要になります。