再入国許可の必要性
 米国永住権を取得すれば、その後永続的に米国に住むことが可能です。しかし永住者でも、長期間、移民局の許可なしに、米国を離れると永住権を失うことにもなりえます。最近、当事務所のお客様(永住者)より、米国より主張業務で日本にしばらく滞在しているが、この度、米国に再入国した際に、海外での滞在が比較的長いため、再入国許可を取るよう勧告されたという連絡を受けました。大事な永住権を維持するために再入国許可は必要です。以下、再入国許可の要件と申請の手順について説明いたします。 

 永住権の維持と再入国許可 

 先に説明しましたが、通常、米国に住み続ける限りは、永住権を失うということはありません。短期間の海外への旅行は特に問題ありません。おそらく6カ月程度までの旅行期間であれば、あまり問題にはならないと思います。しかし、6カ月以上の旅行については、再入国の際、いろいろ理由を聞かれるかもしれません。移民法の規定では、移民局の許可なしに、1年以上継続して米国外で滞在する場合は、永住権を失うことがあるとされています。また、1年未満の旅行であっても、1年のうちの50%以上を海外で暮らすことが数年に亘る場合、米国永住の意志がないとして永住権を失う可能性もでてきます。このような海外での長期滞在が予定される場合は、永住権を確保するために、旅行前に再入国許可を申請したほうが安全です。

 申請の手順 

 再入国許可書の申請はそれほど難しくありません。再入国許可申請書(Iー131)を作成し、移民局手数料を添え、移民局指定のセンターへ送付します。申請書には米国との強い繋がりを示す書類と、出国を証明する航空券のコピーを添付します。移民局の受付の後、1カ月ないし1カ月半後に指紋採取を行います。指紋採取が終われば一通りの手続きは終わることになり、出国しても構いません。許可書は海外で受け取ることも可能です。
 申請書には、海外滞在の理由を書く必要があります。以前は、再入国許可に適した理由として、厳格な理由が必要でした。しかし、近年は様々な理由でも大丈夫になっています。例えば、日本で一時ビジネスの新規機会があり、1〜2年滞在を予定するというような理由でも大丈夫と思われます。あるいは高齢の親としばらく同居という理由でも申請可能です。
 再入国許可は、最初の申請で最大2年間の許可をもらうことが可能です。その後2年の延長申請、さらに、その後必要あれば、1年単位の延長申請が可能です。合計で3〜4年程度許可をもらうことは比較的難しくありませんが、永続的に許可を受けられる保証はありません。

 永住権カードと永住権保持の関連性 

 永住権カード(グリーンカード)が期限切れになると永住権が失効するのではないかと心配になります。しかし、カード期限の失効イコール永住権喪失ではありません。仮に更新手続きを忘れていても、永住権は失効しません。永住権を失効するのは、先に説明しましたが、米国を長期間離れた場合や犯罪を犯した場合に限定されます。カードは期限の6カ月前より更新の手続きができます。また、失効している場合でも、更新の手続きはできます。古い様式のカードは、期限失効がないものがあります。これは必ずしも更新義務はありません。しかし、移民局は新規のカードに切り替えることを勧めています。

(BaySpo 2016/05/20号 掲載)
有澤保険事務所

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