米国での事業活動とビザ
 当事務所では、新規で米国で事業を行うためにはどういうビザが適当かという質問をよく受けます。最近は日本の個人の投資家からの問い合わせが多くなっています。
 日本人が米国で事業をスタートさせ、働くためには労働ビザが必要になりまずが、一番向いているのはLー1(国際駐在員)ビザとEビザ(投資)になります。今号ではそれぞれのビザの条件を説明いたします。

  Lー1ビザ 

 Lー1ビザは国際企業に利用されます。外国の親会社より米国の小会社へ社員を転勤させる場合、このLー1ビザが該当します。Lー1ビザはLー1AビザとLー1Bビザに分かれます。Lー1Aは管理職、役員に、Lー1Bは特殊技能者に利用されます。
 Lー1申請者個人の条件ですが、ビザ申請前の3年間に1年以上親会社で勤務している実績が必要になります。Lー1Bは特殊技能者が申請できますが、エンジニア以外はなかなか許可になりにくい傾向が続いています。
 Lー1ビザ申請は移民局を通して行いますが、必要書類で主なものは、親会社の決算報告書、会社登記簿、米国支店の登記の証明、事務所所在の証明、申請者個人の実務経験証明になります。移民局の審査時間は通常4〜5ヶ月程度はかかる見込みです。移民局特急審査を利用した場合は、最短では15日で結果がわかります。移民局の許可がでれば、その許可書をもとに後日、米国大使館でビザスタンプの申請が必要になります。最大の滞在期限は、Lー1Aで7年、Lー1Bで5年になります。

  Eビザ 

 Eビザの大前提の条件として、申請者(ビザスポンサー会社およびビザ申請者個人)の属する国が、米国と通商条約を交わしていることが必要になります。日本と米国は通商条約を交わしているのでこの条件を満たしています。
 Eビザは、Eー1ビザとEー2ビザに分かれます。会社が主な事業が貿易事業であればEー1に該当します。貿易量、貿易額が重要になります。貿易は主に日米間でなされている必要があります。
 サービスの提供、小売、生産、投資等を主に行う事業についてはEー2ビザが該当します。Eー2ビザについては投資について重点的に審査されます。投資額については絶対的な基準はありませんが、その事業を進めて行くための十分な投資であることが要求され、さらに、米国の現地の雇用を生みだすことも求められます。
 Eビザは個人の投資家だけではなく、従業員(管理職、特殊技能職)も取得可能です。Lー1と違い、日本の親会社での勤務実績はとくに問われません。同じ業界のほかの会社の実務経験も利用できます。
 Eビザは移民局申請ではなく、米国大使館に直接申請できます。その会社から初めてEビザを申請する場合は、まず、Eビザ会社としての会社登録を米国大使館にする必要があります。この登録審査事務に7〜8週間かかります。この審査の後まもなく面接が設定され、面接を受けます。Eビザは一度に最大で5年間有効のビザをもらえます。更新も可能です。

 以上、米国で事業を始め、労働できる二つのビザについて説明してきましたが、ケースごとの細かい分析が必要になってきます。

(BaySpo 2016/06/17号 掲載)
有澤保険事務所

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