2018年度新規H―1Bビザ(専門職)申請受付は、2017年4月1日より始まります。昨年度の申請受状況、最近の経済状況を踏まえますと、2018年度も新規H―1Bビザの申請者数は、短期間で6万5000の法定数を超える可能性が高いと思われます。受付より最初の1週間でこの法定数を超えると抽選となります。抽選から漏れた場合に備え、各企業はほかのビザの可能性も把握しておきたいところだと思います。今号ではH―1Bビザ以外にどういうビザの選択肢があるか、説明していきます。
投資家ビザ(Eビザ)は、外国人の投資家が米国に投資をし、会社設立、事業を始めていくためのビザです。Eビザは米国との通商条約がある国の国民に限定されています。日本と米国は条約があるので日本人は申請可能です。
Eビザは投資家個人はもちろん、米国会社で雇われる従業員にも発給されます。ただし全ての職種ではなく、役員、管理職、技術職、技能職に限定されます。その中で、技術職、技能職については、H―1Bビザの条件と重なる可能性あります。Eビザは親会社からの転勤のとき利用されることが多いですが、親会社の勤務実績がなくとも、同じ業界での実績があれば申請可能です。
Eビザは米国の会社がスポンサーになりますが、その会社の株の50%あるいはそれ以上を日本人または日本の会社が所有していることが必要になります。ただし注意点ですが、日本人でも米国の永住者はこのEビザの条件としての日本人投資家には該当しません。
Eビザは通常、日本の米国大使館または米国領事館に申請します。面接を受けて合格すればビザが発給されます。米国に一時滞在ビザで滞在している場合は移民局を通し、米国に滞在しながらEの資格に切り替えることも可能です。
国際企業駐在員ビザは、米国会社の外国の親会社または関連会社から、米国に転勤になる場合に利用されます。条件としては外国の親会社または関連会社で少なくとも1年以上の実務経験を作る必要があります。L―1ビザは、役員、管理職、技術職に利用されます。この技術職の条件とH―1Bビザの条件が重なる可能性あります。Eビザと違い、まずは米国移民局に申請書を提出し、許可を受ける必要があります。その許可の後に日本の米国大使館または領事館でビザ発給のための面接を受けます。
それぞれの業界で非凡な能力を持っているひとは、O―1ビザを申請できます。しかし、非凡さを様々な証拠書類で証明しなければならず、他のビザに比較し取得が難しいビザです。ビジネス、アート、スポーツ、科学、教育というような分野で国際的にあるいは国内でトップクラスの活躍をしている人が該当します。O―1ビザはL―1と同じように移民局に申請書を提出します。審査は厳しく、許可を取るのは簡単ではありませんが、最近までさまざまな許可事例がでてきているので、専門分野である程度の実績のある人は、一考してみる価値はあると思います。業績を証明する書類ですが、業界の賞、専門誌、業界紙、新聞記事、業界の権威からの推薦状といったようなものがあります。
以上、H―1Bの代替の可能性のビザを説明しましたが、各ビザごとに条件が違うので、申請者個人の学歴、職務実績等、細かく分析する必要があります。