米国移民局より、H―1Bビザ(専門職)申請について、特急審査を一時停止することの発表がありました。今号ではこの一時停止の影響について説明したいと思います。
H―1Bビザは、大学卒業資格を持つ専門職のためのビザです。雇用主が申請者になります。新規H―1Bについては、毎年4月1日より申請受付が始まります。申込者が多い年度は1週間で受付締切になり抽選になります。転職による雇用主変更申請または同じ雇用主からの更新申請の場合は、年を通しいつでも可能です。H―1BはI―129という様式を用いて申請しますが、通常3〜4カ月の審査時間が予想されます。新規申請についてはさらに時間がかかることが多いです。
ただし、特急審査を利用すれば最短で提出より15日で結果を出すことも可能です。特急審査はI―907という様式で行います、この特急審査手数料はI―129の手数料とは別に1225ドルかかります。
今回の移民局の発表を見ますと、2017年4月3日以降に提出されるH―1B申請については特急審査が利用できず、無期限で特急審査サービスを停止するというものです。4月2日までに受付された分については特急審査で審査されます。しかし、4月1日、2日は、土曜日、日曜日になるので、実質は3月31日受付分までが特急審査で取扱われることになりそうです。
今回の決定でとくに新規H―1Bの申請者が影響を受けそうです。今年度(2017年度)までは特急審査を利用でき、特急申請開始より早ければ15日で許可を受けることも可能でした。しかし新年度(2018年度)は特急審査がないので、通常審査での時間になり、最終決定まで相当の時間をかけられる可能性があります。新年度もH―1Bの法定枠(6万5000)を大幅に上回る申請があることが予想されます。結果、抽選が行われ、当選した申請についての審査が開始するまでにも相当時間が経過します。おそらく最終決定の通知を移民局より受けられるのは、早くても7月あるいは8月になりそうです。なお、大学生でOPT(卒業後の実務研修)を受けている人が、新規H―1Bを申し込んだ場合、H―1B審査の最終決定が降りるまでは、継続して働けることになるので、たとえ特急審査が利用できなくても心配ありません。
また、新規以外の申請者についてですが、転職前あるいは、更新前のなるべく早い時期に申請書を移民局に提出したほうが良いかもしれません。更新申請については、今のビザの期限の6カ月前より更新申請が可能です。通常審査は3〜4カ月かかることが多いので、出来る限り早めの申請が望まれます。もし、ビザの期限に近い時に更新申請した場合ですが、移民法で期限を超えて最大180日間は継続して労働できる旨の規定があります。しかし、期限を超えた後、更新の許可前に米国を出国すると、この規定が利用できなくなるので注意が必要です。
今のところH―1Bに関しては、特急審査サービスが取りやめになったということ以外、条件など特に変化はありません。