2018年度の新規Hー1Bビザ申請は2017年4月7日で締切りになりましたが、ここ数年の申請と同じように申請者数が多く抽選になりました。抽選に漏れた申請書は、7月末までに申請者に返送されました。抽選に漏れた申請者は、米国に残りたい場合は外の一時滞在または就労ビザを探さなければなりません。今回は就労ビザとしてはあまりポピュラーではないですが、特派員ビザをご紹介いたします。
米国の特派員ビザはIビザといいます。テレビ、新聞、専門誌、雑誌等の報道関係者・記者が、米国で報道および取材活動をして、自国へその情報を発信するためのビザになります。ニュース撮影、スポーツイベントの報道、取材記事の発信といったような活動になります。一般的には、勤務している外国の通信、報道関連の会社より米国へ派遣される形ですが、フリーランスジャーナリストも一定の条件を満たせばIビザが取得できます。
Iビザは、業界での相当の経験が問われます。派遣元の会社がビザのスポンサーになります。通常、勤務先の経験証明が必要ですが、ビザ申請時その会社に雇われていなくとも、同じ業界で経験がある場合は、Iビザで派遣される旨の契約をかわせば申請は可能です。例えばビジネス系の出版社がビザスポンサーになる場合、申請者個人はIビザ申請時にその会社で雇われていなくとも、ビジネス系の記事を過去にいくつかのマスコミ関連会社あるいは出版社のために書いたことがあれば、Iビザ申請の条件を満たせます。また、大学や大学院でマスコミ関連の専攻をしていて、いくつか記事を書いた実績があれば、Iビザ申請の強化材料になります。
Iビザでの滞在期間ですが、その派遣元との派遣契約の期限までになり、更新していくことも可能です。この辺は外の一時就労ビザに比較してある程度長期の滞在も可能になります。
米国労働ビザは多くの場合、米国移民局へ申請書を提出しますが、Iビザは移民局申請なしに自国の米国大使館に直接申し込むことができます。必要書類を準備し、面接予約をとり、面接に望みます。必要書類としては、パスポート、顔写真、雇用証明または経験証明が含まれます。面接では業界での経験、米国での活動内容といったようなことについて質問を受けます。面接が無事終了すれば概ね1週間程度でビザが貼付されたパスポートが申請者指定の場所に送られてきます。その後渡航が可能になります。ご家族はIビザの家族ビザを取得できますが、書類としては戸籍謄本が必要になります。
なお、申請者個人が米国に外の一時滞在ビザで滞在している場合は、移民局に滞在資格変更の申請をし、米国に滞在したままでいまのビザ資格からIの滞在資格に切り替えることも可能です。この場合、米国再入国のためのビザは後日、出国した際に自国の米国大使館で取得する必要があります。
以上、Iビザの条件、申請方法について説明してきましたが、外の一時就労ビザと比較して、業界での相当な経験を証明でき、派遣の契約があれば、取得の難易度はそれほど高くありません。