永住権取得は雇用による場合と家族呼び寄せによる場合とがあります。今回は雇用を通し永住権を取得する方法と、最近の移民局の審査時間の状況について説明いたします。雇用ベース永住権は申請者の条件で第1順位から第5順位に別れています。以下、順位ごとに説明します。
EB―1は、優先就業者と呼ばれる枠で、年間4万人の枠があります。優先就業者とは、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツの専門分野でトップクラスの業績を残している人および国際企業の管理職を指します。トップクラスの業績の定義ですが、国際的にその専門分野でトップクラスの活動実績があるか、または国内であってもトップクラスの実績があるということになっています。例えば、スポーツ界では、日本国内の全国規模の大会で上位入賞の実績があるというのであれば、このEB―1においてのトップクラスの実績といえるでしょう。国際企業の管理職については、米国外の親会社または関連会社で、米国への赴任直前の3年間に1年以上、管理職として働いた実績があれば申請できます。EB―1は、他の順位に比較し審査時間が短く、順調に行けば申請より1年以内での取得も可能と思われます。
EB―2は、米国の大学院以上の卒業資格を有していて、専門職(ビジネス、研究、芸術、文化、教育)に就く人のためのものです。EB―2も年間4万人の枠があります。EB―1では必要ありませんが、このEB―2では、移民局申請の前に、連邦労働局より労働条件に関しての許可をとりつける必要があります。この手続きはPERM申請と呼ばれています。大学院卒業資格に代わり、4年生大学資格と5年以上の専門職としての経験がある人もこの第2順位で申請することが可能です。また、米国の国益(ビジネス、芸術、教育、文化等の領域)になる活動をしている人は、National Interest Waiverという規定のもと、このEB―2で申請できます。これに該当する場合、連邦労働局より許可をとりつける必要はありません。EB―2は連邦労働局の許可書の取得の時間を含め、永住権取得までの審査時間は順調に行った場合、1年〜2年になるでしょう。
EB―3は、大学卒業資格のある専門職の人、2年以上の経験が必要な技能職、またはその他の労働者に利用されます。年間の枠は、EB―3全体で4万人です。EB―3は、EB―1、EB―2に比較して非常に申請者が多く、毎年年間の枠を超える申請者数があり、かなりの待ち時間が生じ、永住権取得までだいぶ時間がかかる可能性があります。EB―2と同じように連邦労働局の事前の許可が必要になります。永住権取得までは、5〜6年前後かかることが予想されます。
EB―4は、宗教職に就く人に該当します。米国外の宗教団体での宗教職としての勤務実績が2年以上必要になり、米国の関連団体で就労するということで申請できます。このEB―4については、連邦労働局の許可は必要ありません。ですので、比較的短時間で取得可能です。
EB―5は、米国内で投資をし、事業を進めていくことにより永住権を取得できます。具体的には、100万ドルの投資をし、10人の米国人労働者を雇用し、少なくとも2年間はその状態を維持する必要があります。失業率の高い地域では、50万ドルの投資で済む場合があります。
EB―1、EB―2、EB―3については、永住権を取得する条件のひとつになりますが、immigrant visa number(永住権枠)が申請者に有効にならないと永住権の許可になりません。先に説明しましたが、年間の枠が4万ですので、もし、年間の申請者数がその枠を超えた場合は、待ち時間が生じ、immigrant visa numberは有効でないことになります。EB―1、EB―2については、現在は年間の申請者数が少ないため待ち時間は生じていません。しかしEB―3については、申請者数が多いため常に待ち時間が生じています。以前は数年の待ち時間があり、永住権申請を進めてから永住権取得まで5〜6年かかることが珍しくありませんでした。ところが2013年の後半からこの待ち時間が急速に縮まっています。ですので永住権申請を2012年の春頃始めた人が、2014年中には永住権取得可能という申請例もでてきています。今後この待ち時間はまた変動する可能性あります。