永住権の維持と 再入国許可
 米国永住権を取得すれば、米国に永久的に住むことが可能です。しかし永住権取得後、なにかの用事で米国を離れる必要が出てくるときがあるかもしれません。それが短期間であればあまり問題ありませんが、長期間、移民局の許可なしに米国を離れると永住権を失うことにもなります。これを防ぐ方法が再入国許可の取得です。ここ最近当事務所に、「海外で当座の間暮らすことになったが、どのようにすれば永住権を維持できるか」など、いくつか問い合わせがきています。今回は、永住権の維持と再入国許可について説明いたします。


 永住権の維持 

 先に説明しましたが、年を通し米国に住み続ける限りは、永住権を維持できます。維持するために注意すべきことは、所得税の申告をすることと犯罪を犯さないことです。短期間の海外旅行は特に問題ありません。例えば、2〜3週間の海外旅行を年に数回という程度であれば、あまり問題にはならないと思います。

 移民法の規定では、移民局の許可なしに1年以上継続して米国外で滞在したときは、永住する意志がないと推定されます。また、1年未満の旅行であっても、1年のうちの50%以上を海外で暮らすことを複数年続けていると、いずれ米国永住の意志がないとして永住権を失う可能性もでてきます。

 この永住権の喪失を防ぐ方法があります。再入国許可の取得です。許可を得ると所定の期間、永住権を確保できます。海外での長期滞在が予定される場合は、旅行前に再入国許可を申請したほうが良いです。また、米国再入国の際に移民局の係官が、海外での滞在についていろいろ質問をしてきたり、警告的なことを言ってきたりします。特に警告的なことを言われた場合は、次回の長期間の出国の前に再入国許可申請をしたほうが良いです。


 再入国許可申請の手順 

 再入国許可申請の手続きは、それほど難しくありません。再入国許可申請書(移民局様式I|131)に必要事項を記入し、移民局手数料を添え、移民局指定のセンターへ送付します。添付書類としては、パスポートコピー、永住権カードコピーのほか、米国との強い繋がりを示す書類と出国日を証明する航空券のコピーを添付します。申請書を提出後、後日、移民局の指定の場所と日時に指紋採取を行う必要があります。指紋採取を終えた後は、再入国許可の発行を待つことになります。申請受付より許可書発行までは数カ月を要しますが、指紋採取が終了すれば出国できます。

 申請書には、渡航先の国と滞在の理由を書きます。以前は再入国許可の理由として、特別な理由を求められていました。しかし、近年は特別な理由がなくても許可を受けられるようになっています。例えば、「親族を訪問し、しばらく日本で滞在したい」というような理由でも取得可能です。

 再入国許可は、最初の申請で2年間有効の許可をもらうことが可能です。その後2年の延長申請、さらに、その後必要あれば1年単位の延長申請が可能です。合計で3〜4年程度許可をもらうことは比較的難しくありませんが、永続的に許可を受けられる保証はありません。

(BaySpo 2018/06/15号 掲載)
有澤保険事務所

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