米国永住権を申請する場合は、米国のスポンサーが必要になります。スポンサーには、雇用によるスポンサー(雇用ベース)と、親族によるスポンサー(親族ベース)があります。今回は、雇用主を通して永住権を取得する申請方法とカテゴリーについて説明いたします。
雇用ベース永住権は、通常次の3つのカテゴリーの中から、自分の条件に合うものを選択します。
優先就業者(EBー1)
EBー1は、優先就業者と呼ばれる枠です。国際企業の転勤管理職は、EBー1で申請できます。管理職は、マネージャーや役員を指します。日本の本社より、管理職として米国の支社に派遣された人が該当します。また、この派遣管理職とは別に、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツ等、その業界で特別な能力を持った、トップクラスの業績を残している人もこのEBー1で申請できます。
大学院資格(EBー2)
EBー2は、大学院以上の卒業資格を持っている人で、専門職、研究職(ビジネス、研究、芸術、文化、教育、医療等)の職についている人が該当します。
専門職、技能職(EBー3)
EBー3は、4年生大学卒業資格を持っている人で、専門職についている人が該当します。専門職の例としては、教師、会計士、編集者、エンジニア、インテリアデザイナーといったような職になります。また、EBー3は、技能職の人も申請できます。2年以上にわたるその業界での実務経験と、専門知識を持っていることが条件となっています。3つカテゴリーのうち、このEBー3の申請者が最も多い割合を占めます。
永住権申請の方法ですが、永住権申請書(Iー140)を雇用主から移民局に提出します。しかし、EBー2とEBー3では、移民局への永住権申請前に、連邦労働局へAlien Labor Certification(PERM申請)という申請が必要になります。このPERM申請ですが、連邦労働局に雇用の条件(給料や労働時間等)が適正かどうか、労働局に審査してもらうためのものです。EBー1は、このPERM申請を省けるので、審査時間は、EBー2,EBー3よりもだいぶ短くなります。
PERM申請は次のような流れになります。まずは、該当者の職のその地域の平均賃金を調査します。永住権取得後の該当者の給料については、その地域の平均賃金を下回る設定にはできません。次に、雇用主が、米国人労働者に対し、求人活動をします。具体的には、新聞、業界紙、インターネット求人といったような媒体に求人広告を載せます。この求人活動によって、適当な人材が見つからなかった場合、PERM申請ができます。PERM申請は、インターネットで行います。
EBー2、EBー3については、PERM申請の許可の後、永住権申請(Iー140)に入ります。EBー1については、PERM申請なしに、直接Iー140申請ができます。このIー140申請の際、移民局に提出する資料として、会社の決算情報や該当者の学歴証明、職歴証明が必要になります。米国に一時滞在ビザで滞在している場合、Iー140が許可されれば、最終段階である資格変更手続(Iー485)に移ります。この資格変更手続のときは、出生証明や移民局指定医の健康診断証明が必要になります。また、審査の最終段階では、最寄りの地方移民局での永住権面接が予定されます。このIー485が許可になれば、永住権取得となります。海外在住の場合は、Iー140許可の後、米国大使館で永住権面接を受け、許可になれば、永住権ビザが発行され、そのビザで永住者として米国に入国できます。