年度末も近づいてきましたが、今号では、新規Hー1Bビザ申請について、ご説明いたします。2020年度新規Hー1Bビザ申請の受付が、2019年4月1日より始まります。2019年度(2018年4月1日受付開始)も、申請者が多数あったため、受付より1週間で年度枠(6万5000)に達し、締め切りとなりました。2020年度も2019年度と同じように、早い時期に年度枠に達すると予想されます。近年、受付期間が1週間しかないので、この間に確実に受付されるよう、早めの準備が望まれます。今号では、新規Hー1Bビザの条件、申請手順、注意点について説明していきます。
Hー1Bビザは、専門職のためのビザで、4年制大学卒業資格が条件になっています。米国の大学卒業資格が必要ですが、海外の4年制大学卒業資格でも申請が可能です。海外の大学の卒業資格を利用する場合は、Hー1Bビザを申請する前に、米国の学歴評価(Evaluation)団体より、海外の卒業資格が、米国の大学卒業資格と同等であるという証明を貰う必要があります。Hー1Bビザの専門職の例ですが、会計士、エンジニア、医師、弁護士、教師、研究者、編集者、建築士、インテリアデザイナーといったような職業が含まれます。先に説明したとおり、新規Hー1Bビザは年度ごとに申請受付の枠があり、申請数が枠に達するとその年度の受付は終了します。また、この6万5000枠とは別に、米国の大学院またはそれ以上の資格のある人には、2万の枠が別途設定されています。
Hー1Bビザ申請は、4年制大学卒業資格が必須ですが、その大学での専攻とHー1Bでの雇用先での職務に関連性が必要になります。関連性がないと見られると、許可をとるのが難しくなります。ただし、専攻とは別に、過去の専門職としての実務経験を利用できる場合もあるので、ケースバイケースの細かい分析が必要になります。また、Hー1Bビザ申請では、給料については、雇用主は、その地域のその職の平均賃金またはそれ以上の額を支給することが義務付けられています。
Hー1Bビザは、申請書(Iー129)を移民局に提出しますが、その前に、まず、連邦労働局よりLCA(労働条件許可)を取得する必要があります。このLCAは、後日、移民局に提出するIー129に添付します。申請書には、雇用主のサポートレターと税申告書、本人のパスポートコピー、大学の卒業証明といったような書類を添付します。この申請書に移民局手数料分の小切手を添え、指定の移民局サービスセンターへ送付します。
LCAについての注意点ですが、インターネットで取得できますが、取得には1〜2週間要します。とくに3月の後半は、LCAの申請数が非常に多くなり、通常より時間がかかる可能性も十分あるので、LCA取得については、なるべく早めに進めておいたほうがよいでしょう。
移民局での新規Hー1Bビザの審査時間ですが、多数の申請者が短期間に集中することもあり、近年、非常に時間がかかるようになってきており、申請書提出より6カ月あるいはそれ以上かかることが珍しくありません。移民局特急審査を利用できるかどうかについては、後日、移民局より発表があると思われます。
2020年度新規Hー1Bビザについては、2019年4月1日より申請受付が開始しますが、実際にHー1Bの資格で働き始めることができるのは、2019年10月1日が最初の日になります。学生がOPT(卒業後のプラクティカルトレーニング)から切り替える場合の取扱については、移民局より、後日、発表があるものと思われます。
最近移民局より新規Hー1Bビザ申請に関し、新規の提案がありました。これは、Hー1Bビザ申請前に、会社に必要情報を移民局にインターネットで登録するよう義務付けるものです。今の時点では、2020年度より適用される可能性については、時間的に難しいようです。