H-1Bビザに代わるビザ
 2020年度新規H|1Bビザ(専門職)申請受付は、2019年4月1日より始まります。ここ数年の申請状況を見ますと、2020年度も新規H|1Bビザの申請者数は短期間で6万5000件の申請枠を超える可能性が高いと思われます。受付より最初の1週間でこの法定数を超えると抽選となります。また、当選しても、審査に長時間かかり、結果、就労が予定より遅くなる場合も多いです。せっかくのよい人材を企業は確保したいはずですし、各企業は、ほかのビザの可能性も把握しておきたいところだと思います。今号では、H|1Bビザ以外にどういうビザの選択肢があるか、説明します。

  投資家ビザ(Eビザ) 

 投資家ビザ(Eビザ)は、外国人の投資家が米国に投資をし、会社設立、事業を進めていくためのものです。Eビザは、米国との通商条約がある国の国民が申請できます。日本と米国は、この条約があるので、日本人は申請可能です。投資家個人はもちろん、米国会社で雇われる従業員にも発給されます。従業員に関しては、全ての職種で申請可能ということではなく、役員、管理職、技術職、技能職に限定されます。これらの職の中で、とくに技術職、技能職については、H|1Bビザの条件と重なることもあります。Eビザは、親会社から米国支社への転勤に利用されることが多いですが、親会社での勤務実績がなくとも、同じ業界の他会社での勤務実績があれば申請可能です。
 Eビザ申請については、米国の会社がビザスポンサーになりますが、会社の株の50%あるいはそれ以上を日本人または日本の会社が所有していることが必要になります。ただし、日本人でも、米国の永住者は、Eビザ投資家としては除外されます。

 Eビザは、通常、米国大使館または米国領事館に申請します。面接を受け、許可が出れば、ビザが発給されます。米国に一時滞在ビザで滞在している場合は、移民局に申請書を送り、審査してもらい、米国に滞在しながら、Eの滞在資格に切り替えることも可能です。

  国際企業駐在員ビザ(L|1ビザ) 
 
 国際企業駐在員ビザは、米国会社の外国にある親会社または関連会社から、米国会社に転勤になる場合に利用されます。個人の条件としては、申請前に、外国の親会社または関連会社で少なくとも1年以上の実務経験が必要になってきます。L|1ビザは、役員、管理職、技術職、技能職に利用されます。この技術職、技能職の条件とH|1Bビザの条件が重なる可能性あります。L|1ビザは、まず、米国移民局に申請書を提出し、許可を受ける必要があります。その許可の後に、米国大使館または領事館でビザ発給のための面接を受けます。

  非凡な能力(O|1ビザ) 

 それぞれの業界で非凡な能力を持っている人については、O|1ビザを申請できます。非凡さをいろいろな証拠書類で証明しなければならず、外のビザに比較し取得が難しいビザです。ビジネス、アート、スポーツ、科学、教育というような分野で国際的にその業界でトップクラスの活躍している人が該当します。国際的ではなくとも、国内でトップクラスの活躍をしている人も申請できます。O|1ビザは、L|1と同じように、移民局に申請書を提出します。先に説明したとおり審査は厳しく、許可を取るのは簡単ではありませんが、最近までさまざまな許可事例がでてきているので、専門分野である程度の実績のある人は、一考してみる価値はあるかもしれません。業績を証明する書類ですが、賞の証明、専門誌、業界紙の記事、新聞記事、業界の権威からの推薦状といったようなものがあります。

 以上、H|1Bビザの代わりになりうるビザを説明しましたが、各ビザごとに条件が違うので、会社の条件、申請者個人の学歴、職務実績等を細かく分析する必要があります。

(BaySpo 2019/01/18号 掲載)
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