外国人が米国で就労する場合は、労働許可申請書を移民局に提出し、審査してもらう必要があります。移民局は提出資料で不十分な事項、不明な事項がある場合は、審査途中で質問状(Request for Evidence)を雇用主に送ります。とくにここ数年は、質問状が送られてくる割合も非常に大きくなっています。今回はHー1Bビザの申請において、いままで雇用主にどのような質問が来ているか、参考例を掲げ説明いたします。
Hー1Bビザは専門職ビザです。この専門職においては、4年制大学卒業資格が求められます。Hー1Bビザ申請においてもっとも質問が多い事項は、該当する職が本当に移民法上の専門職に該当するかということです。移民局は雇用主に質問状を送付し、一定の期間内に証拠を出すよう要求してきます。専門職かどうかの証拠としては、その会社の過去のその職についての雇用実績、被雇用者の給料の支払い証明、卒業証明、成績証明といったようなものがあります。また、新聞や業界誌の求人広告といった会社外部の証拠もあります。
Employer-Employee Relationship |
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雇用主が申請者個人と適正な雇用関係に入るか、疑いがあるときに質問状が届きます。とくに雇用主ではなく、雇用主と別の場所で働く場合は、質問状が送られて来る可能性は高いです。この場合、雇用主がHー1Bビザ取得後、申請者個人を管理しコントロールできる証拠書類を準備する必要があります。
Beneficiary Qualifications |
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先に説明しましたが、Hー1Bビザは専門職のためのもので、申請資格として4年制大学卒業資格が必要になります。また、この資格はHー1Bビザの職と密接に関連している必要があります。卒業資格がHー1Bビザの職と関連性が薄いと見られる場合は、雇用主に質問状が送られてきます。この場合、証拠書類としては、勉強した科目のうちいくつかの科目は密接にHー1Bビザの職と関連しているという説明、あるいは卒業大学からの専攻科目についての説明情報といったようなものが考えられます。
米国の4年制大学を卒業していれば、もちろんその卒業資格を利用できます。外国の大学を卒業している場合は、移民局にHー1B申請書を出す前に、外国の資格のEvaluation(評価)を米国内の専門の団体より出してもらうう必要があります。外国の大学卒業資格につき、米国の大学卒業資格と同等であることを評価してもらう必要があります。
米国に滞在中の人が、米国に留まりビザ申請をする場合は、ビザ申請直前まで合法的に滞在していることが必要になります。この合法滞在を証明するための証拠書類としては、パスポートの入国記録、ビザスタンプ、移民局よりの滞在許可書(Iー797)、留学証明(Iー90)、学校からの在籍を証明するレターといったようなものになります。
以上、いくつかの参考例を説明してきましたが、実際のHー1Bビザ申請の質問状にはかなり細かい説明があります。これを注意深く読み、どのような証拠が的確かを判斷していく必要があります。