2019年度(2018年10月1日〜2019年9月30日)の第一四半期のH‒1Bビザ申請の実績について、移民局より発表があり、全体の申請の約60%について、審査途中において追加資料提出の要求が雇用主にあったとのことです。今回は、追加資料はどのようなものを要求されるか説明いたします。
H‒1Bビザは、雇用主が申請のスポンサーになり、会社と個人の必要書類を添付したI‒129というフォームを移民局指定のセンターへ送付して行います。追加資料の必要がある場合は、移民局は通常審査の場合、受付後数カ月で雇用主に追加資料要求の通知を送ります。通常審査ではなく、特急審査の場合は、受付後15日前後でこのような通知が雇用主に送られてきます。この要求は通常Request for Evidence(RFE)と呼ばれています。過去数年、それ以前に比較できないほどの割合でRFEが申請者に発送されています。雇用主は以前に比較し、H‒1Bビザ申請の手数に関し、負担が増えてきています。
追加資料要求のなかで、一番多い要求事項は、申請に関しての給料支給額と申請の職が専門職かどうかということに関してです。
まず、給料支給額に関してですが、H‒1Bビザでは、勤務地の地域の同じ職(同じような職務内容)の平均賃金と同じ額か、あるいはそれ以上の額を支給しなければいけないことになっています。移民局は、賃金をLevel1からLevel4の段階に設定しています。職務内容にもよりますが、以前は、少なくともLevel1を満たしていれば、審査にはあまり影響がありませんでした。しかし、過去数年、職務内容に比較Level1では低すぎるのではないか、なぜLevel1にしたか雇用主に理由の説明や追加資料の要求が多く届くようになっています。
次に専門職かどうかについてですが、一番基本になる考え方は、業界でその職業に4年制大学卒業資格を要求するかどうかということです。移民局は、専門職の条件について、業界をまとめる職業関連団体や同業者からの説明のレターを提出するよう求めてきます。また、これとは違う裏付け書類の提出も求めてきます。以前までは、OOH(Occupational Outlook Handbook)という連邦労働局の職業概観に関しての情報が裏付け書類としてよく利用されていました。しかし、最近、移民局はOOHを強い証拠としては見ていません。ですので、OOHも参考にはなりますが、それ以外で信頼できるものを裏付け書類として探して行く必要があります。例えば、新聞の求人情報、業界の専門誌の求人情報といった資料が考えられます。
いまH‒1Bビザの審査は過去になく非常に厳しくなっており、許可率も過去に比べ相当低くなっている状況です。RFEについての追加資料を移民局へ提出しても、許可になる確率は以前よりだいぶ低下しています。ですので、RFEが来た場合は、移民法弁護士と相談し、できる限り効果的な資料を準備するよう心がけたほうがよいでしょう。