永住権取得後、ビジネスやその他の都合で米国を一時離れる必要が出てくるときがあるかもしれません。それが短期の旅行であればあまり問題ありませんが、3〜6カ月あるいは1年以上の長期間に渡る場合は注意が必要になります。長期間の不在は、永住権を失うことににも繋がります。しかし、長期の不在でも永住権を保持できる手段があります。今回は、海外旅行と永住権の維持について説明いたします。
永住権を維持するための条件の一つとして、米国で住み続けることがあります。短期間の海外旅行は特に問題ありません。例えば、2、3週間の海外旅行を年に数回という程度であれば、あまり問題にはなりません。しかし、数カ月の海外旅行を年に数回行ったり、1年以上にわたる海外旅行の場合は、永住権保持を難しい状況にしてしまう可能性があります。
移民法の規定では、移民局の許可なしに、1年以上継続して米国外で滞在したときは、永住する意志がないとみなされる可能性でてきます。また、1年未満の旅行であっても、1年のうちの50%以上を海外で暮らすことを複数年続けていると、いずれ、米国永住の意志がないとして、永住権を失う可能性もでてきます。例えば、海外でのビジネスのチャンスがあり、1〜2年は、海外で暮らす必要があるという人もいると思います。このような人もなにも手続なしに米国を出国するとあとで後悔することになるかもしれません。
しかしこのような心配を防ぐ方法があります。再入国許可(Reentry Permit)の取得です。取得すると一定の期間永住権を保持できます。それでは、次に取得方法について説明いたします。
再入国許可取得のための手続きは、それほど難しくありません。移民局の再入国許可申請書(様式Iー131)に必要事項を記入し、移民局手数料を添え、移民局指定のセンターへ送付します。添付書類としては、パスポートコピー、永住権カードコピーの他、米国との強い繋がりを示す書類と出国日を証明する航空券のコピーを添付します。申請書を提出後、後日、移民局の指定の場所と日時に、指紋採取を行う必要があります。指紋採取を終えると、その後は、再入国許可の発行を待つことになります。 申請受付より許可書発行までは、数カ月を要しますが、指紋採取が終了すれば、出国できます。
申請書には、渡航先の国と滞在の理由を書きます。以前は、再入国許可の理由として、病気治療や親族の介護といったような特別な理由を求められていました。しかし、近年は、このような理由以外でも、許可を受けられるようになっています。例えば、久しぶりに親族を訪問し、しばらく日本で滞在したい、あるいは海外でのビジネスチャンスを広げるため、というような理由でも取得可能です。
再入国許可は、最初の申請で2年間有効の許可をもらうことが可能です。2年後の期限までに米国に再入国すれば、出国からその間米国に戻っていなくとも、再入国できます。その後2年の延長申請、さらに、その後必要あれば、1年単位の延長申請が可能です。合計で3〜4年程度許可をもらうことは比較的難しくありませんが、永続的に許可を受けられる保証はありません。