米国永住権を取得するためには、永住権申請のスポンサーが必要になりますが、雇用ベースと親族ベースに分かれます。雇用ベースについては、雇用を予定する会社が、親族ベースの場合は、親族がスポンサーになります。今回は、雇用ベース永住権について、カテゴリーと申請の流れおよび最近の申請での注意点についてご説明いたします。
雇用ベース永住権は、通常以下の3つのカテゴリーに分かれます。申請者は、3つのカテゴリーでどの条件に自分に合うかをまず、分析する必要があります。
●優先就業者 (EBー1)
EBー1は、優先就業者と呼ばれる枠です。国際企業の転勤管理職がEBー1に該当します。この管理職は、マネージャーや役員を指します。外国の本社または関連会社より管理職として、米国の支社あるいは関連会社に派遣された人が該当します。また、この管理職とは別に、その業界で特別な能力をもったトップクラスの業績を残している人もこのEBー1で申請できます。科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツ等各分野でトップクラスの業績を残している人です。
●大学院資格必要な専門職、研究職
(EBー2)
EBー2は、大学院以上の卒業資格を持っている人で、専門職、研究職(ビジネス、研究、芸術、文化、教育)の職についている人が該当します。また、EBー2では、米国の国益になる活動をしている人についても、申請が可能になっています。これをNational Interest Waiverといいます。
●専門職、技能職(EBー3)
EBー3は、4年生大学卒業資格を持っている人で、専門職につく人が該当します。専門職の例としては、学校の先生、会計士、編集者、エンジニア、インテリアデザイナーといったような職になります。また、この専門職とは別に、技能職の人も申請できます。2年以上のその業界での実務経験が最低条件となっています。大学の資格は条件になっていません。3つカテゴリーのうち、このEB-3の申請者がもっとも多い割合を占めます。
永住権申請の方法ですが、雇用主が永住権申請書(Iー140)を移民局に提出して行います。EB−2とEB-3では、このIー140申請前に、連邦労働局へAlien Labor Certification(PERM申請)という申請が必要になります。このPERM申請ですが、連邦労働局に雇用の条件(給料や労働時間等)が労働局の規定に合っているかどうか、審査してもらうためのものです。EBー1は、このPERM申請を省けます。
PERM申請ですが、次のような流れになります。まずは、該当する職について平均賃金を調査します。申請者が永住権取得後、給料を支給されることになりますが、その地域の同じ職の平均賃金を下回る設定はできません。平均賃金の調査の後、雇用主が、米国人労働者に対し、求人活動をする必要があります。具体的には、新聞、業界紙、インターネット求人といったような媒体に該当の職に関しての求人広告を載せます。この求人活動によって、適当な人材が見つからなかった場合、PERM申請ができます。PERM申請は、インターネットで労働局に所定の申請書を送って行います。
Iー140申請の際、移民局に提出する資料として、会社の決算情報や該当者の学歴証明や職歴証明が必要になります。Iー140が許可になれば、最終段階である資格変更手続(Iー485)に移ります。この資格変更手続のときは、出生証明や移民局指定医の健康診断証明が必要になります。また、審査の最終段階では、最寄りの地方移民局での永住権面接が予定されます。このIー485が許可になれば、永住権取得となります。
Iー140申請の際、該当職に必要な条件として実務経験がある場合は、申請者が自分には一定の実務経験があることを証明する必要があります。これは、以前の雇用主より実務経験証明を発行してもらいます。最近、移民局は、提出した実務経験証明が移民局の要求する項目を全部盛り込んでいないと、再度雇用主より証明をとるよう指導するようになってきています。