最近、当事務所に米国永住者より、しばらく米国を離れる必要がでてきたが、どのようにすれば永住権を維持できるかという問い合わせが多くなっています。永住者は、米国に無期限に滞在できます。しかし、犯罪等の事由により移民法違反になり、国外退去に該当する場合は、永住権を失います。あと、米国を長期間離れる場合も永住権を失うリスクが生じます。今回は、長期間米国を離れる場合、どうすれば、永住権が維持できるかの方法を見ていきたいと思います。
永住者は、米国に住み続ける限り、永住権を失うということはありません。目安としては、1年のうち、50%以上米国に滞在していることです。移民法では、米国移民局の再入国許可なしに米国を1年以上継続して離れていた場合は、永住権資格を失う可能性が強くなると規定しています。しかし、事情があり、自分の母国に一時帰国しなければいけないという場合もあるでしょう。例えば、親が高齢でしばらくは介護する必要があり、介護は1年を超える見込みだが、その後は、米国に永住者として戻りたいということもあるでしょう。こういう場合、介護の期間は1年を超えるので、永住権の失効を防がなければなりません。この永住権の失効を防ぐためには、再入国許可を申請し、許可を得ておく必要があります。再入国許可の有効期間の間は、永住権を維持できます。
再入国許可は、最初の申請で2年間、その次に2年、その後は、1年単位での申請が可能です。再入国許可申請はそれほど難しくありません。申請の方法ですが、米国出国前に専用の申請書(I―131)を準備し、移民局手数料とともに、移民局指定の部署に送付すれば良いです。米国との繋がりを証明できる書類も添付したほうがよいでしょう。申請書を提出後、指紋採取が義務付けられています。指紋採取の日と場所は指定されます。指紋採取が終了すれば、あとは、外国で許可書を受け取ることができます。最初の申請書提出より、許可書発行まで数ヶ月を要するでしょう。
再入国許可申請の理由ですが、以前は限定されていました。しかし、近年は、様々な理由でも許可になってきています。親の介護の他に、日本での一時的な仕事、日本の学校に一時通うといったような場合でも許可を受けています。
永住権の失効に関して、永住権カード(グリーンカード)が期限切れになると永住権が失効するのではないかという質問もよく受けます。現在多くのグリーンカードは、10年の期限のものです。期限切れになる前に更新の手続きが必要になります。しかし仮に、カードの更新手続きを忘れた場合でも、永住権は失効しません。先に述べた国外退去に該当する場合や、米国を長期間離れた場合に永住権を失効します。
もちろん、永住権カードは、対外的ないろいろな場面で証明になるので、更新手続きは確実に行なったほうが良いです。仮に期限がきれた場合でも、更新手続は可能です。なお、以前の永住権カードは、期限がないものが発行されておりました。このカードを所持している方は、とくに更新の期限はありません。しかし、いつでも新規のカードに切り替えることはできます。