現在コロナ禍で、非移民ビザの滞在者や永住者はいろいろな影響を受けています。当事務所にも、滞在、労働に関し様々な質問が寄せられています。海外で滞在している永住者から永住権をどのようにすれば維持できるかの質問も多く寄せられています。今回は、以前にも何度か永住権の維持について説明してきましたが、再び説明いたします。
永住権の維持に関してよくある質問は、永住権を維持するための条件としてグリーンーカードの更新が必要ではないかという質問です。
たしかにグリーンカードは10年ごとに更新する必要があります。グリーンカードの更新は、カードの期限の6カ月前より可能です。しかし、仮に更新を忘れていてもこれで永住権を失うわけではありません。もちろん、いろいろな日常の活動にグリーンカードの提示を求められることも多いと思います。この場合、グリーンカードの期限が切れていると証明としては有効にならないかもしれません。この辺は不自由になります。
永住権を失う場合としては、犯罪を犯した場合、該当する特定の移民法違反といったようなことがあります。しかし、日本人で一番多いのは、海外へ長期間滞在していることで永住権を失う場合と思われます。
永住権は米国で長期間居住し、労働する目的には非常に有効な資格です。しかし、長く米国を離れると永住権を失うことになります。移民法の基準では1年を超えるかどうかになります。
米国外で長期間滞在する必要が出てきた場合、永住権を維持するためには再入国許可申請が必要になります。
再入国許可は、所定の申請書を移民局に提出し、審査の上で許可書が発行されます。これがあれば最大で2年間は海外で滞在しても永住権が維持できます。この許可書なしに米国を出国し、1年以内に米国に戻らないときは永住権を失う可能性が高くなります。
申請の仕方はそれほど難しくありません。申請書はI︱131という移民局の様式になります。
申請書提出前に、この申請書に添付する書類を準備します。顔写真、パスポートコピー、グリーンカードコピー、米国との繋がりを証明する書類、移民局手数料用の小切手が必要になります。米国との繋がりの書類としては、銀行の残高証明、不動産所有の証明、アパートの賃貸契約書のコピーといったようなものがあります。再入国許可は更新も可能です。
申請の注意点ですが、申請書を提出するときには米国に滞在している必要があります。外国からは申請ができません。外国にいる場合は、米国に戻り申請書を移民局へ提出する必要があります。申請者が移民局に届けば、一度出国できます。後日指紋採取を移民局より要求されるので、その際、再び米国に戻り指定のセンターで指紋採取を行う必要があります。指紋採取が終了すれば、米国を出国して構いません。
再入国許可は、以前までであれば申請書提出後3〜4カ月で許可書が発行されていました。しかし、コロナの影響で発行が遅れる可能性が高くなっています。通常は指紋採取が要求されますが、最近一部の申請において、指紋採取が省かれることも出てきています。これは、例えば、再入国許可を更新する場合、以前の申請の際の指紋採取の記録が移民局に残っていれば、特別指紋採取を省く措置をしてくれるのです。しかし、全ての申請者に適用されるわけではありませんし、ケースごとの判断が必要になります。