外国人が米国で事業を始める場合、まずは現地調査を行い事業の可能性を探りますが、事業を進める事を決めれば次は米国での活動のためのビザが必要になります。このように外国人の投資家が米国での事業を開始する場合のビザで適当なものはEビザ(投資家ビザ)になります。コロナ禍で経済は大きな影響を受け、新規の投資家ビザの需要が低下していました。しかし、今後、米国では収束に向かっているように見え、今後投資家ビザの需要が高まって行くように思えます。今号では、この投資家ビザの条件と申請方法について説明いたします。
Eビザは、投資家ビザと呼ばれますが、E︱1ビザとE︱2ビザからなっています。E︱1は貿易事業、E︱2は貿易事業以外の事業になります。外国人が米国に投資をし、事業を開始するためのビザとなります。Eビザ企業となるには、まずは、外国人の母国が米国との間に通商条約がある必要があります。また、母国の投資家が米国会社の株の50%あるいはそれ以上の割合を所有している必要があります。ビザ申請はこの米国会社がスポンサーになります。ビザ申請は投資家の外に、米国企業で働く外国人従業員も利用できます。このビザ申請をする従業員も同じ国の国民である必要があります。
米国での会社設立後、スポンサー会社はEビザ申請をする場合、会社登録という手続きを踏む必要があります。会社登録の方法ですが、Eビザ申請書に会社登録のための必要書類、情報を添付し、米国大使館に郵送し、審査してもらう形になります。会社登録には、資本金の送金証明、設備投資の証明、従業員の雇用の証明、ビジネスライセンス、投資家の国籍の証明といったような書類が必要になります。米国大使館が申請書と会社登録のための書類を受け取ると審査にはいりますが、概ね審査終了までに2〜3カ月かかります。この審査時間は平均的なもので、ケース次第ではもうすこし時間がかかることもあります。米国大使館の審査が終わるとビザ申請者個人に面接通知が届きます。
ビザ申請者は、面接日にパスポートと面接書類を持参し、面接を受けます。面接が無事終了し許可になれば、会社登録も完了となり、面接より概ね1週間後に申請者にビザが貼付されたパスポートが届きます。
会社登録は有効期限があります。通常は5間になります。会社登録が終われば、ビザ申請者にビザが発行され、多くの場合5年間有効のビザになります。この期間が会社登録の有効期限になります。同じ会社から次のビザ申請者が米国大使館でビザ面接を行い、ビザが発行されれば、そのビザの期間まで会社の登録期間は伸びることになります。
もし、新規のビザ申請もビザ更新の申請もなければ、会社登録が途切れてしまうことになります。この場合会社登録をやり直すことになります。
Eビザで米国に入国すると、移民局の係官より2年間滞在許可(I︱94)をもらえます。パスポートに入国のスタンプが押され、そこに滞在期限が記入されます。Eビザは、入国の時点で有効期限があるビザである必要がありますが、実際の米国での滞在期限については、ビザではなくI︱94で決められます。例えば、Eビザの有効期限ギリギリのタイミングで米国入国しても、2年のI︱94が与えられるので、ビザスタンプの期限が切れても、I︱94が有効なので、その期限までは滞在できる形となります。I︱94の期限内に米国より出国しない場合は、米国移民局に申請書を提出し、I︱94を延長することが可能です。