BaySpo 1000号(2008/01/01)掲載
グローバルなベイエリアで、
日米間ビジネスの更なる進化を

ジェトロ・サンフランシスコ・センター所長 村永 祐司
村永 祐司
 神奈川県出身。1983年通商産業省(現経済産業省)入省。産業政策局、通商政策局、資源エネルギー庁、特許庁などに在任、99年在ニュー・ヨーク日本国総領事館領事。その後本省での法律改正担当等を経て、2006年7月から現職。

 ベイスポ読者の皆様、新年おめでとうございます。
 2007年の米国経済では、サブプライム問題の顕在化が大きく注目されました。FRBの度重なる利下げにも関わらず、原油価格の高騰なども相俟って景気の先行きの不透明感が増し、リセッション入りを心配する声も出ています。当面は経済に対して慎重な見方が続くものと思われます。カリフォルニア州では、住宅市場の悪化などによる税収の落ち込み等を背景に、シュワルツェネッガー知事が先日、財政緊急事態を1月に宣言すると発表しました。
 一方ベイエリアでは、住宅市場への影響は現れているものの、起業家、投資家達を始めとしてビジネス活動は引き続き積極的です。米国のVC投資の3分の1が投下されるシリコンバレーでは、ICTやバイオテクノロジー、Web2.0等のほか、最近は環境関連の投資が急激に伸びています。もともと環境への関心が高い地であることに加え、ベンチャービジネスの最先端地域であればこそ、地球温暖化への関心の高まりにビジネス面で敏感に呼応しているということでしょう。環境対応で蓄積のある日本としては、ビジネスチャンスの拡大も期待されるところです。
 日米間のビジネスと言えば、2008年は、幕末の日米修好通商条約で貿易関係が結ばれて150周年。この条約の批准書交換のため咸臨丸が1860年に太平洋の荒波を乗り越えて到着した先は、サンフランシスコでした。ベイエリアと日本とのつながりはそれ以来とも言えるわけですが、現在のように関係が深まるまでには、日系人の方々や、駐在・永住された多くの方々の地道なご努力があったことは言うまでもありません。今、ベイスポを手にされている皆様も、将来に続くこのつながりの進化に関わっていらっしゃると言えるでしょう。
 ところで、ベイエリアはもちろんアメリカの一部ですが、他の地域に比べ際立ってグローバルな色彩を持っています。シリコンバレーのデータでは、人口の約4割が外国出身者で、技術者については5割以上が外国生まれです。シリコンバレーを身近なところで例えれば、いわば大リーグ野球(MLB)のスタジアムのようなものでしょうか。
 MLBでは2007シーズン開幕時、これまで最多の246名、全体の約3割の選手が外国生まれだったということです。日本人選手は13人で5番目の勢力でした。毎年続々とMLBに挑戦する外国出身者の中で、2008年はまた新たな日本人選手が加わります。ベイエリアのチームに加わらないのはちょっと残念ですが、観戦の楽しみが増えるのは確かですね。日本人選手が毎年MLBに活躍の場を求めてやって来るのは、ハイレベルのステージで先駆者が成功する例を目にして、「それならオレもチャレンジしよう」という選手が増えたこと、そしてMLBが優秀な選手を国内外に求める中で、日本選手の実力への認識をどんどん高めていることなどが理由でしょう。日米の野球関係者がお互いの理解を深めてきたことで、グローバルな舞台でのエキサイティングなプレーを我々が目にする機会が増えてきています。
 「ベイエリア・ビジネス・リーグ」に続々参入する「外国出身選手」としては、アジア系、特にインド、中国の出身者が目立っています。これらの国は経済成長著しく、当地での関心も高い地域です。ベイエリアとのつながりの長い日本としては、ぜひ「日本人選手」も続々と参入するのを期待したいところです。
 もちろん、ベイエリアにおける日本の存在感は、今でも決して小さいものではありません。既に活躍されている多くのビジネス関係者の方々に加えて、例えば日本車、特に日本ブランドのハイブリッド車は大人気です。日本のアニメ・マンガや日本食のイベントには多くの人が訪れます。昨年ジェトロがジャパンソサエティと共催したアニメ・マンガのセミナーや、日本のデジタル・ライフスタイルをテーマにしたセミナーは、スピーカーの興味深い話を聞きたい参加者で大盛況、ジャパンソサエティも「近年で最も人気のセミナーになった」とのことでした。ジェトロ・サンフランシスコとしては、引き続き日米双方向でのビジネス連携をお手伝いすることを通じて、日本とベイエリアとの経済のつながりをより広く、深いものにしていきたいと考えています。
 日米企業間のパートナリング支援では、ベイエリアが日本ビジネスに関心の高い地域でもあり、ICTなどの分野で取組を継続することとしています。日本発ベンチャーの支援では、サンノゼとマウンテンビューで展開中のインキュベーション事業を軸にしながら、当地で活躍されている日本人起業家の方々の姿を日本向けに発信・紹介していくこと等にも努める予定です。
 現代日本が持つ強みを当地にアピールする点では、日本発コンテンツ(アニメなど)、日本食などの効果的な紹介のほか、当地で注目度が急上昇している環境分野などについても工夫していきたいと考えています。
 もちろん、当地の日系ネットワーク組織であるJCCNC、SVJEN、SVMFなどとの協働、そのほか当地日系ビジネスコミュニティへの支援にも、引き続き取り組みます。これらの活動の中で、今年も皆様にいろいろとお世話になることが多いと思います。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

有澤保険事務所

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