BaySpo 1153号(2010/12/24)掲載
2010年は3D、スマフォ、ソーシャルメディア、さて来年は・・・
ェトロ・サンフランシスコ・センター 次長 荏原 昌
荏原 昌(えばらまさし)
2003年日本貿易振興会(ジェトロ)入会。ジェトロ入会以前は民間企業(システムインテグレーター)で新規事業企画、ベンチャーへの投資、ジョイントベンチャーの立ち上げ等を担当。2008年3月からサンフランシスコセンター次長。新潟県出身、中央大学理工学部卒業。

 今年も残りわずかとなりましたが、読者の皆様にとって2010年のビジネスシーンはどのように記憶されるのでしょうか。さて私はどうかと、今年ベイスポに寄稿させていただいた3回の原稿を改めて読み返してみました。3月は3Dテレビ、6月はスマートフォン、9月はソーシャルメディアを取り上げましたが、寄稿した後で状況が変化したものや、新しい情報等もありますので、今回は2010年を振り返りつつ、夫々補足してみたいと思います。

 今年の「日経MJヒット商品番付」ではスマートフォンが東の横綱に、3Dが西の大関にランキングされました。海外にいると日本で何が流行っているのか実感しにくくなりますが、スマートフォンと3Dテレビに対する関心の高さと普及度合いは日米であまり差は無いと考えていいようです。日本のJEITA((社)電子情報技術産業協会)は今年度から3Dテレビの国内出荷実績の統計を公表し始めました。今年4月〜9月の出荷実績は131千台で薄型TV全体の1・34%、大型(37インチ以上)では4・12%が3D対応だったそうです。Black Friday関連のニュースで、消費者が大画面の3Dテレビを購入している姿を良く目にしましたが、米国ではCEA(Consumer Electronics Association)が1月〜9月の3Dテレビの出荷実績を655千台(概ねTV全体の2%)と発表しています。2010年の出荷予想はCEAや他のリサーチ会社によれば105〜120万台の範囲に収まっているようです。安くなったとはいえ、おいそれとは手を出しづらい価格ですし、3Dコンテンツもまだまだ足りない、という状況では健闘していると思います。ちなみに2014年には出荷台数の40%が3Dテレビになる、という予想があります。(私はこの予想を支持します。4年後にこの記事をおぼえていらっしゃるようでしたら連絡下さい。予想が妥当だったか否か検証してみましょう。)

 スマートフォンの普及については言わずもがな、です。しかし、正直驚いたのは4月に発売されたiPadです。当初は「でっかいiTouch」程度の認識でしたが、あれよあれよという間に世界中で販売台数を伸ばし、瞬く間にプライベートだけでなくビジネスでの利活用が進みました。いっとき流行りかけてその後影が薄くなったタブレット端末の後継として、iPadが満を持して真打のごとく登場したというところでしょうか。ノートPCの機能を代替し、Appleお得意の表現力を活かしたプレゼンを演じ、WiFiと3Gで常時インターネットに接続できる利便性に多くの企業が注目しています。Fortune 100企業の、何と65%がiPadをビジネスプロセスの一部に利用あるいは利用すべくテスト中というデータがあります。セキュリティ上の不安とかMS Officeが使えないとかの指摘はあるものの、今後もビジネスでの利活用が進むのは間違いなさそうです。Forresterはタブレット端末の2010年度の世界の販売台数予想を1300万台とし、2015年には米国で5900万台が普及すると予想しています。iPad Statsというサイトで暫く前までiPadの累積販売台数(推計)を公表していましたが、台数はともかく面白いと思ったのは米国の中でCA州での販売が際立って多い(シェア20%、二位はNYで10%)点です。Appleのお膝元とはいえ、リベラルなカリフォルニアンらしいですね。

 ソーシャルメディアに関する記事で知事選挙における活用に少しだけ触れましたが、結果はクリーンエネルギー関連産業への投資拡充による雇用創出を訴えて支持を伸ばしたジェリー・ブラウン氏が、メグ・ホイットマン氏を退けて当選しました。世論調査の推移を振り返ると9月に入りホイットマン氏が優勢(19日には選挙期間中最大となる5ポイントのリード)になったものの、23日にブラウン氏が逆転してそのまま逃げ切る、という結果になりました。Twitterのフォロワー数ではブラウン氏が110万人、対するホイットマン氏が24万人と大きく差がついている点に着目し、他の幾つかの州で選挙結果との関係を調べてみましたが、有権者が多い州ほど当選者の方が対立候補者より圧倒的にフォロワー数が多いようです。ひょっとしたら世論調査の数字よりも、Twitterのフォロワー数が選挙の行方を計るのに適している、という仮説が成り立つかもしれません。さて、大げさに言えば社会インフラになりつつあるソーシャルメディアですが、ハッキングやなりすましといったセキュリティ面での不安も指摘されています。Information Week誌にハッキングされやすい(盗まれやすい)パスワードの記事がありました。上位は数字の連番“123456..”ですが、単純な“password”や“iloveyou”はもとより、子供や配偶者の名前もパスワードとしては不適当です。ホリデーシーズンはハッキングやウィルスが蔓延しがちです。ドキッとされた方は今すぐパスワードを変更しましょう。

 今年も一年間「ビジネス最前線」のコーナーを読んでいただきありがとうございました。皆様のお役に立てたかどうか、やや不安ですが、ジェトロの執筆者(帰任した頓宮、中園、中島)を代表してお礼申し上げます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

有澤保険事務所

自動車保険をはじめ、火災保険、アンブレラ、ビジネス保険、労災保険、生命保険、健康保険などを取り扱う総合保険会社です。Farmers
Insurance、Blue Cross等のエージェントであり、日本語できめ細やかな安心のサービスを提供しています。

有澤保険事務所
2695 Moorpark Ave, Ste 101, San Jose, CA, 95128
http://www.arisawaagency.com

有澤保険事務所
(408) 449-4808
No Reproduction or republication without written permission
Copyright © BAYSPO, Inter-Pacific Publications, Inc. All Rights Reserved.