ベイスポ読者の皆様、明けましておめでとうございます。
本年も皆様にとって素晴らしい一年となりますことをお祈り申し上げます。
さて、昨年を振り返ってみますと、ニュージーランドのカンタベリー地震、日本の東日本大震災、ベイエリア・イーストベイのバークレー・ヘイワード・フリーモント断層に起因する断続的地震を始めとする自然災害、米国や欧州の財政危機に起因する金融市場の乱高下と混乱、これらを主因とする経済停滞、格差拡大を背景とするオキュパイ・プロテスト、アラブ圏の民主化活動など、世界の社会・経済の荒波が報道ヘッドラインを独占し続けました。
ベイエリアが活動をリードするハイテク産業界は、アップル社の共同創設者スティーブ・ジョブズ氏の逝去という残念な出来事はあった一方、LinkedIn、Zynga、Jive等ベンチャー企業のIPO、サンフランシスコSOMA等におけるコ・ワーキング・スペースの活況、シリコンバレーの雇用増に見られるように、予断は許さないものの新たな時代を見据えたイノベーション創出への挑戦が一層の活況を呈した一年でした。
これらの諸般の動向を貫くキーワードは「変化・決断・変革」だと思います。「備えあれば憂いなし」とは災害の多い日本で伝え続けられてきた格言ですが、ここベイエリアでも、各自が日常生活や職業生活においてダイナミックな将来ビジョンを持ってポートフォリオとリスクマネジメントの視点を絶やさず日々の活動に取り組むことは今後ますます重要になってくると考えます。
日米関係に目を転じますと、昨年はサンフランシスコ講和条約及び日米安全保障条約の締結60周年でしたが、まさに人生の還暦の如き成熟期を迎えたのと同時に干支の本卦返りの如き新たな出発をすべき転機に立っていると言えます。2012年は干支では壬辰(みずのえたつ)に当たりますが、その意味するところの「ふとく元気よく奮いたつ姿」に触発され、世界経済の基軸が再構築されるべき状況の中で、日米経済関係なかんずくビジネス・ディベロップメントでの力強い連携関係拡大を通じて、敢えて日本及び米国の経済社会の活性化とともに世界全体の経済成長の主導という二兎に向けて積極的に挑むべきと考えます。
具体的には、テクノロジーとビジネスのトレンドを見据えながらマーケットの現状を踏まえつつ世界の需要創出を先取りする革新的プロジェクトに向けて力を合わせて取り組んでいくべきであり、世界中からテクノロジーやビジネスに関して才能溢れる人材が結集するベイエリアはこれを実践するのには世界中でもここを置いて他にない最適な場(エコシステム)であり、ここを一つの拠点としながら先行投資に果敢に取り組むことは極めて重要だと考えます。その取組に当たっては、日本としてのプレゼンスを示しつつ戦略実現における主導権を握ることが重要となりますが、私どもジェトロは、日米の橋渡し役として、ベイエリアにおけるムーブメントを活用するとともにベイエリア全体における活動の一層の発展に向けた貢献が出来るように、皆様とともに最大限に力を尽くしてまいる所存です。
スポーツ界に目を転じますと、一番に注目されるのは、何と言っても日本のプロ野球からメジャーリーグへの雄飛が待たれて久しかった選手たちの動向ではないでしょうか。
昨年のメジャーリーグ日本人選手の活躍振りにはやや物足りなさをお感じになった方々もいらっしゃるかも知れませんが、今年は新しい顔ぶれの日本人選手たちがかつての野茂投手のように新たな旋風(トルネード)を巻き起こしてくれることを信じて皆様とともに応援していきたいと思います。
最後に、年頭に当たって、改めて、全ての活動の基本は健康増進にあることを再認識しておきたいと思います。日米ともに第二次世界大戦後に高度経済成長と中産階級の豊かな生活が謳歌され得たのはベビーブーマーの存在が大きかったからであり、ベビーブーマーが高齢化しつつある中、健全な社会の維持のためには、ベビーブーマーの皆様やさらにシニアな方々が如何に健康を維持出来るか、また、後を支える世代が如何にパフォーマンスを上げられるかが鍵になってきます。いずれを取っても健康が全ての礎であることは言うまでもないことですし、個人の日常生活における幸福も健康なしに語ることは出来ません。幸いベイエリアは気候風土に恵まれており健康増進に向けたスポーツの場には事欠きませんので、皆様がスポーツなどを楽しみつつ元気に過ごされ、是非本年を公私ともに有意義な一年とされることを祈念して締め括りといたします。 |