主婦層だけでなく若い年齢層にも
ユーチューブで自社製品の使い方を発信したり、消費者に映像の投稿を募るオンライン・ビデオコンテスト、ツイッターを用いたイベントの開催などを通じて、コミュニティーとの密接な関係を築いている事例は多くみられます。
Kikkoman Sales USAはフェイスブックページ「Kikkoman’s Kitchen」で、広報マネージャーを務める同社の女性シェフがユーモラスなクッキングビデオを発信するほか、自社サイトで年に一回、ビデオコンテストを実施しています。このシェフは社員ながら、キッコーマン醤油の着ぐるみと踊る「Kickin’ it with Kikkoman」というバイラルビデオが、視聴回数1万3000回以上にのぼるほどの大変な「人気者」になっています。
従来、新聞や雑誌でのレシピの紹介やクーポンの発行に重きが置かれていた食品企業のマーケティングは、ソーシャルメディアの隆盛で大きく様変わりしています。Kikkomanは主婦層だけでなく、若い年齢層をターゲットとしたブランド浸透策を推し進め、それがファンベースの獲得という形で実を結んでいるようです。同じく、Yoshinoyaがフェイスブックページで展開する会員プログラム「Bowler Club」も、製品・サービスに関心を持つターゲット顧客への情報伝達ルートを確保することで集客数増加に一役買っていることがうかがえます。
目指せ「今週イチオシのスタイル」
ソーシャルメディアは、ユーザー側からすると、企業やブランドに自身が参加している、あるいは消費者としての声が反映されるというインタラクティブな感覚を持つことができる技術といえるでしょう。UNIQLO USAはこうした側面を独自のSNSで実現させ、ユーザーの大きな支持を得ています。
同社のUNIQLOOKSは、フェイスブックとツイッターを統合させたファッション・コミュニティー主体のウェブサイト。ユニクロ商品で好きな着こなしをした写真を投稿し、会員間で見て楽しんだり、批評し合ったりすることができます。気に入った着こなしの商品を購入することもできますし、着こなしは「いいね!」の数で順位付けされ、最も多く支持を受けた会員の着こなしが「Look of the Week」(今週イチオシのスタイル)として掲載されます。
コミュニティーを構築することで、ユーザーベースが自然に拡大し、これが「ロイヤルカスタマー」(忠誠心の高い顧客)に転換することで、店頭やオンラインでの売上の増加に結びつくという格好の事例といえるでしょう。
米国に拠点を持つ日本企業の間に根付き始めたソーシャルメディア。「つながって、共感して、共有する」という、ソーシャルメディアの一番の肝の部分を、いかに自社ツールに取り込み、どのように売れる仕組みを確立していくかに今後も注目です。 |