ベイスポ読者の皆様、明けましておめでとうございます。
本年も皆様にとって素晴らしい一年となりますことをお祈り申し上げます。
さて、昨年のこの稿では「変化・決断・変革」が新年を貫くキーワードだと申し上げましたが、皆様の昨年一年間はいかがでしたでしょうか。
世界経済は昨年も特にマクロ経済的に見て最近数年間を象徴する波乱含みの状況を脱せないままでしたが、個別分野の活動は様々なダイナミズムをもって進展したと思います。
日本の産業界では、尖閣問題の影響もある中、一時期のアジア一辺倒から他の地域に重心を移そうとする兆候も見受けられ、米国への関心度が再度急速に高まりつつあるという情報を耳にすることが増えましたが、米国に駐在する我々はこのチャンスを逃すことなくモノにすべき、というのが昨年の終盤に感じたことの一つです。
米国国内では11月に大統領選挙が行われて現職のオバマ大統領が再選を果たしましたが、あと4年間は現在の政策的フレームワークが基本的に維持されることになり、オバマ大統領が選挙終了後の演説で訴えたように、様々な課題の本質自体と自分自身とが率先して向き合わなくてはならないとの覚悟を新たにした人々も多かったのではないでしょうか。
ベイエリアに目を転ずると、5月のFacebookの株式公開が最大の出来事だったと思いますが、同社の日々のビジネス面でのめまぐるしい展開の一方で株価が低迷するという一筋縄ではいかない状況の一方で、ベイエリアにおける雇用や不動産取引等は全米でも有数の活況を呈しましたので、そのダイナミズムは健在だったと言い切れる一年であったと思います。
日米の外交的行事としては、サンフランシスコ講和条約・日米安全保障条約締結60周年後の初年度として、日米イノベーションカウンシルや北カリフォルニア・ジャパンソサエティによるイノベーションアワード等の経済交流関連のものの他に桜寄贈百周年の行事も行われました。
2013年は干支では癸巳(みずのとみ)に当たりますが、その意味するところの「雨が静かに降り注ぎ、地上に溜まった太陽の熱を分散させる様子」に触発され、我々は米国など他国の企業等の関係者とも力を合わせながら世界経済の様々な課題への取り組み、なかんずく環境関係を始めとする次世代を切り拓くための諸活動に対して、ソフトウエアとテクノロジーの叡智を最大限に活かしつつ積極果敢に挑んでいくべきだと考えます。
特に、テクノロジーとビジネスのトレンドを見据えながらマーケットの現状を踏まえつつ世界の需要創出を先取りすることが引き続き大切であり、世界中からテクノロジーやビジネスに関して才能溢れる人材が結集するベイエリアはこれを実践するのには世界中でも他に例をみない最適な場(エコシステム)であって、この地を一つの拠点として先行投資に果敢に取り組むことの重要性は今年も変わりません。
その取り組みに当たっては、日本としてのプレゼンスを示しつつ戦略実現における主導権を握ることが重要となりますが、私どもジェトロは日米の橋渡し役として、ベイエリアにおけるムーブメントを活用するとともにベイエリア全体における活動の一層の発展に向けた貢献が出来るよう、皆様とともに今まで以上に力を尽くしてまいる所存です。
スポーツの世界に目を転じますと、昨年はダルビッシュ投手の一年を通じての活躍と岩隈投手のシーズン中盤からのローテーションの一角としての活躍があったわけですが、今年も藤川投手らが新たに日本球界からMLB入りしたので、さらに多彩な顔触れで日本選手の活躍が広がると思いますし、3月下旬にAT&Tパークで行われるWBC決勝リーグにおける日本チームの活躍にも期待したいと思います。
最後に、全ての活動は健康に基盤があることを改めて強調しておきます。日米ともに医療福祉に関する政策が財政再建に向けた一つの鍵となっていますが、それは両国の国民各般の健康増進とこれを通じた生涯にわたるアウトプットの向上があってこそ成し遂げられることですし、もとより個人の日常生活における幸福も健康なしに語ることは出来ません。幸いベイエリアは気候風土に恵まれており健康増進に向けたスポーツの場には事欠きませんので、皆様がスポーツなどを楽しみつつ元気に過ごされ、是非本年を公私ともに有意義な一年とされることを祈念して締め括りといたします。 |