米国は世界最大のアプリ市場です。この米国市場で、米国以外の海外の企業が開発し、成功をおさめているアプリやソーシャルゲームがあります。そうした、ドイツやフィンランド、英国、シンガポール、中国、トルコなど、海外出身のアプリの事例を別表にまとめてみました。
このような海外発のアプリはどのようにして、世界最大のアプリ市場・米国で成功しているのでしょうか。その主な決め手を見てみましょう。
1.本国での試行錯誤
まずは、本国で試行錯誤を繰り返し、ユーザーの「嗜好」や「利用習慣」、「常習性」を促す工夫を熟知していること。万全の準備でタイミングを逃さず時流に乗れたのは、流れてくる音楽を聞き取って曲名を教えてくれるアプリ『Shazam』です。2001年に英国で提供を開始、2007年のiPhone誕生と同時にiOS版を開発し、米国で拡大傾向にあるスマホ市場にいち早く対応した結果、iPhoneでの音楽ダウンロードが急拡大した勢いにも乗って、わずか数年で成功を収めました。
2.完全な現地化
英語圏向けの完全な現地化。米国で幅広いユーザーベースを獲得するには、メニューやナビゲーションの操作だけでなく、搭載機能そのものの現地化が不可欠です。「中国のInstagram」と呼ばれる『Camera360』は、その高い機能性でPC World誌で「2011年におけるベスト商品100」の一つに選ばれるなど、米国ユーザーにも幅広く受け入れられています。
3.バイラリティ(自己増殖性)
アプリは、友人間での口コミやネット上での投稿で広がっていきます。SNSが発達した米国では、これらを通じた共有がバイラリティを生み出します。YouTubeのオーディオ版『SoundCloud』(ドイツ)はFacebook、TwitterやTumblrなどで共有でき、音楽配信とともに、これを「共有された」人が技術に関心を寄せてユーザーになるという形で急速にユーザーベースが拡大しました。
4.フリーミアムのビジネスモデル
サービスを基本的に無料で提供し、特殊機能は有料化するビジネスモデル。無料版は主にダウンロードと「お試し」を促進する上で重要な役割を持ち、無料版の広告収入とプレミアム版の課金が収益源になっていきます。GIFアニメーション(ぱらぱら漫画の要領で制作される動画)作成アプリ『FotoRus』(中国)は、無料アプリとして提供したことが米国でのユーザーベース獲得する主な要因となりました。米国には様々な写真加工アプリがありますが、人気が高いアプリの中には『Hipstamatic』(2ドル)や『iPhoto』(5ドル)など有償のものが目立ちます。
5.米国でのパートナーシップ
世界を網羅するインターネット時代でも、ビジネスの国際展開には、現地企業とのパートナーシップが欠かせません。動画の字幕翻訳サービスで知られる『Viki』では、BBC、NBC、A&E Network、History Channelとの間でライセンス契約を結んでいるほか、HuluおよびNetflixとの提携を通じて、米国のユーザーにコンテンツの配信を行っています。
6.米市場に精通したチームメンバー確保
米国で経験があるメンバーの参画も、資金調達や事業開発の面で大きな役割を果たします。『Shazam』や『Viki』は、UCバークレーやスタンフォード大学で在学中に知り合った相手と共同で設立した企業です。また米国市場への参入が本格化すると、現地人材で構成された現法の開設が必要な場合もあります。表に挙げた企業10社のうち4社は、米国支社を持っていました。
ここで取り挙げた海外発のアプリやゲームは、米国市場にあっても確かに魅力的なものばかりです。日本企業発のアプリやソーシャルゲームについても、米国市場でのますますの活躍を期待したいと思います。
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