去る8月に、サンフランシスコで7回目のJ―POPサミットが開催されました。J―POPサミットは、これまでは日本のアイドルやアニメなどのポップカルチャーを発信するストリートイベントでしたが、本年からは場所を屋内(フォートメーソンセンター)に移し、観光やファッション、和食や日本酒などを含む日本文化の総合的な発信イベントに進化しました。我々ジェトロも、この中の日本の技術を発信するインタラクティブ分野の企画運営に積極的に参加してきました。
インタラクティブ分野が目指したもの
J―POPサミットは、日本のポップカルチャーに関心のある現地の若者を多く集めるイベントでした。そこで、ここに日本企業の最先端の技術や商品を展示して、現地の人々の反応を企業の商品開発等に役立ててもらうとともに、日本の技術力の発信につなげようというのが最初のきっかけでした。その際、サンフランシスコ/シリコンバレーらしい取り組みとして、単純に各社が技術や商品を自社のブースで展示するのみでなく、「技術が繋ぐFuture Life」というコンセプトのもと、各社間の協力を推進する「インタラクティブ」の実現を目指そうということになりました。
実際にインタラクティブ分野では様々な協力が実現しました。例えば、大容量データを高速で無線通信できる装置で、J―POPサミットに参加したアーティストの特別動画の配信を受けるという協力が実現しました。アーティストにとっても幅広い来場者に動画を見てもらうことができ、メーカー側にとっても様々な客層が製品に触れるきっかけになるというwin―winの関係になりました。また、視線を感知するヘッドマウントディスプレイのベンチャー企業は、「進撃の巨人」との協力で、電子マンガを目の動きのみで読むという新しい読書スタイルの提案につながりました。
他にも、ベンチャーキャピタルとの協力で開催したピッチ(数分間のプレゼンテーション)コンテストでは、優勝した現地のベンチャー企業には日本行きの航空券がプレゼントされ、シリコンバレービジネスの日本展開が期待されます。また開催された2回のアイデアソンや、インタラクティブ関係者限定のレセプションは、出展した日本企業と、参加した様々な現地の有力者との出会いの場になりました。このようにJ―POPサミットは、新しいビジネスにつながる幅広い層の連携や融合の場にできたと考えています。
来年のJ―POPサミットに向けて
J―POPサミットの来年度に向けた企画はすでに開始されています。本年度の成功と反省を踏まえ、来年度はインタラクティブ内の連携に留まらず、観光、ファッション、食といったJ―POP全体と技術との連携・融合を推進していくこととしています。例えば日本の伝統的な旅館の一室に、最新技術による快適な家電製品を設置することで、伝統と先端技術を組み合わせた新しい価値の創造が期待されます。また、ファッションや食の分野も、最新技術との連携が有望な分野です。さらに、J―POPサミットでの展示や発表に向けて、複数の人や企業の連携を運営チームが支援するような「J―POPイノベーション・ハブ」の取り組みも検討しています。
これらの取り組みが組み合わさって、J―POPサミットが単なる展示会やイベントにとどまらず、幅広い分野の出展者や来場者が一体となった新しい価値創造と情報発信の場になっていくことを期待しています。来年夏のJ―POPサミットをお楽しみに。
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