BaySpo 1310号(2014/01/03)掲載
2014年の年頭に当たって
ジェトロ・サンフランシスコ・センター 事務所長 岡田 俊郎
岡田 俊郎(おかだ としろう)
84年通商産業省入省、94年より3年間外務省在ブラジル日本国大使館一等書記官として日系企業の誘致に携わり、97年、資源エネルギー庁エネルギー環境対策室長に就任。2011年7月、ジェトロサンフランシスコ所長に就任し現在に至る。

 ベイスポ読者の皆様、明けましておめでとうございます。
 本年も皆様にとって素晴らしい一年となりますことをお祈り申し上げます。

 さて、昨年のこの稿では「日本としてのプレゼンスを示しつつ戦略実現における主導権を握ることの重要性」を新年の所信の一つとして申し上げましたが、皆様の昨年一年間は主導権を握ることの出来た一年だったでしょうか。
 昨年の世界経済は一時の苦境を脱し、特にベイエリアでは、前世紀の最後に起こったITバブルを彷佛とさせるような活況を呈し、年後半からは各地の道路が渋滞に陥るなどによって、かえって有難迷惑のような影響を被った方々も多かったのではないでしょうか。
 日本の産業界では、一時期のアジア一辺倒から他の地域に重心を移そうとする兆候も見受けられる中で、米国そして南米への関心が確実に高まりつつあるといった手応えを感じる一方で、アフリカ開発会議が日本で開催されたこともあって、アフリカ諸国への関心が急速に高まりを見せたことも昨年の変化として見逃せない部分だったと思います。
 米国国内を見ると、政治の世界では、大統領・民主党・連邦議会上院と共和党・連邦議会下院の「非生産的ライバル関係」が解消されないままの一年でした。特に、10月には連邦政府が一時シャットダウンされる事態にまで立ち至りましたが、悪く言えばその場しのぎの妥協でオバマケアを含む諸課題に関しての本質的議論は先送りのまま、当面の間は通常の状態を継続することになりました。
 経済政策に目を転ずると、FRBの新議長にはジャネット・イエレン現FRB副議長・前サンフランシスコ連邦準備銀行総裁が就任することになりましたが、今後、不透明感が見え隠れする雇用情勢を踏まえたTapering(資金購入額の減額化)に関する意思決定のあり方が注目されます。
 ベイエリアに目を転ずると、累次にわたるBARTのストライキがありましたが、この地域の活力はこうした「小事」を苦も無く克服し、完全に不動産部門まで波及した景気拡大が衰えることを知らない一年でした。Venture Business、Venture Capitalの領域でも、集約・統合的な地殻変動は継続しましたが、総体として好況感が継続しました。ただし、付加価値を生む新たなプラットフォームへの「飢餓感」も芽生え始めており今後に向けては「好機と危機の両方」が存在すると言えましょう。
 日米二国間を繋ぐ出来事としては、一時機体の不具合から運行を中断せざるを得ない事態に追い込まれたボーイング787型の日本直行便のサンノゼ就航が一つの目玉でしたし、2月初頭サンフランシスコのユニオン・スクエアで開催されたビジット・ジャパンの統一行事もエポックメイキングな取り組みとなりました。
 2014年は、干支で言えば、甲午(きのえうま)となります。干支番号は31番ですが、「甲」は大きな木を、「午」は大きな炎の質、太陽の質を表すということで、これに触発されて、構えが大きく強い情熱を持った取り組みに邁進できればと思います。
 ここベイエリアでは、テクノロジーとビジネスのトレンドを見据えながらマーケットの現状を踏まえつつ世界の需要創出を先取りすることが引き続き大切ですが、域内における付加価値を生む新たなプラットフォームへの「飢餓感」の芽生えを捉えつつ、イノベーションの創出に向けた大きな構想に強い情熱を持って取り組むことが何時にも増して重要性な一年になると思います。
 その取り組みに当たっては、日本としてもシリコンバレーのダイナミズムの中心に入って活動しながらダイナミズムのさらなる躍動に貢献するとともに、そこから当地やグローバルなコンテクストにおける自らのビジネスへの糧を得つつ日本の経済にもそのダイナミズムを活力として取り込んでいくことが大切です。私どもジェトロは、日米の橋渡し役として、ベイエリアにおけるムーブメントを活用するとともにベイエリア全体における活動の一層の発展に向けた貢献ができるように、皆様とともに今まで以上に力を尽くしてまいる所存です。
 スポーツの世界に目を転じますと、何と言っても連勝世界記録を作った田中投手の大リーグにおける活躍に注目が集まります。近年、投手部門においては日本人選手の活躍に目を見張るものがある中、もう一旋風吹くことを期待したいと思います。
 最後に、全ての活動は健康に基盤があることを、みたび強調しておきます。
 日米ともに医療福祉に関する政策が財政再建に向けた一つの鍵となっていますが、それは両国の国民各般の健康増進とこれを通じた生涯にわたるアウトプットの向上があってこそ成し遂げられることですし、もとより個人の日常生活における幸福も健康なしに語ることはできません。
 幸いベイエリアは気候風土に恵まれており健康増進に向けたスポーツの場には事欠きませんので、皆様がスポーツなどを楽しみつつ元気に過ごされ、是非本年を公私ともに有意義な一年とされることを祈念して締め括りといたします。

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