ジェトロは7月15日から18日の4日間、シリコンバレーのアクセラレーターのエグゼクティブ4名を日本に招き、シリコンバレーでのビジネスの進め方を全て英語で集中的に講義する「ブートキャンプ」を開催しました。ブートキャンプとは軍隊の基礎訓練を意味する言葉ですが、転じてシリコンバレーの起業家への集中特訓講座という意味で使われています。日本でブートキャンプを開催するのはジェトロとして初めてでしたが、シリコンバレーへの進出を目指す日本の中小・ベンチャー企業約20社が参加し大変盛り上がりました。
最初の3日間は午前中にテーマ別の講義、午後は各社と専門家との1対1面談、最後の1日は米国流の3分間プレゼンテーション指導を行いました。本稿ではこのブートキャンプで印象深かったポイントを紹介します。
シリコンバレーの文化
シリコンバレーではオープンと透明性が重要で、アイデアが盗まれることを恐れて秘密にするよりは、積極的に他人のアドバイスを受けて改善し、早く製品化する企業が成功するとのことでした。またチャレンジして失敗から経験と知識を得ることも重要で、トーマス・エジソンの「失敗ではない。うまくいかない1万のやり方を見つけただけ(I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.)」という言葉が紹介されていました。この辺り、日本とは少し異なる「米国流」が求められるようです。
価値創造の重要性
誰からどのように利益を上げるかを明確にすることも重要です。日本の企業は自社の製品・サービス自体の説明に注力しがちですが、投資家や顧客の関心事はむしろ顧客へのメリットや、どれだけ企業が儲かるかですので、この価値創造の中身をきちんと伝えることが重要です。日本人は儲け話を語るのは苦手な傾向があり、ここも米国流が求められるポイントです。
ネットワーキング
シリコンバレーでは、毎日平均25件のネットワーキングイベントが開催されており、これらに積極的に参加してビジネスのネットワークを構築し、顧客や仲間(パートナー)等を探すことが重要、とのことでした。
インパクトのあるプレゼンテーション
シリコンバレーでは、30秒〜3分程度での短時間プレゼンテーションが重要です。どのようなサービスを提供し、顧客にどういう利益を与え、他のライバルとどう違うか、をシンプルな表現で定量的な数字を入れて説明することで、聞いた人がもう一度会いたくなるようなインパクトを与えることが重要です。日本人は控えめで堅実に語る傾向があるので、ここも米国流が求められます。なお、マーク・トウェインですら「短い原稿を書くのには時間がかかる(It usually takes me more than three weeks to prepare a good impromptu speech.)」と言っているように、シンプルなプレゼンのためには繰り返しの練習が重要です。
今後の展開
今回参加した企業の中から、更に選別された企業が、ジェトロのシリコンバレーイノベーションプログラムのもとシリコンバレーに進出し、ビジネス拡大に向けて活動を開始する予定です。日本から多くの優秀な企業がこちらで活躍し、シリコンバレーでの日本の存在感を高めてくれることを期待しています。
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