シリコンバレーの空前の好景気の影響もあって、このエリアの交通渋滞はますます激しくなっているようで、早くて時間に正確な日本の鉄道システムを本当にうらやましく思います。そのような中、本年1月6日にカリフォルニア高速鉄道の着工式がフレズノで行われましたので、本稿ではこのカリフォルニア高速鉄道計画を御紹介いたします。
計画の概要
カリフォルニア高速鉄道計画とは、サンフランシスコとロサンゼルスを約3時間弱で結ぶ鉄道計画で、区間の長さは約520マイル(約840km)、鉄道の最高速度は約220mph(約350km/h)で、全体の建設費はおよそ676億ドル(約8兆円)と見込まれています。 ここサンフランシスコ・ベイエリアでは既存のカルトレインの線路を活用し、サンノゼ以南は新しく線路を敷設してロサンゼルスまでつなぐ計画になっています。カルトレインの区間は、もともとは複々線化して、在来線と高速鉄道を並行して走らせる予定でしたが、現在の計画では線路を高速鉄道と在来線が併用することとされています。
今後の見通し
高速鉄道の計画は、まずは中間部分のマーセドとサンフェルナンドバレーを結ぶ区間(IOS:初期着工区間)から工事が始まり、このうちのマーセドの南のマデラからベーカーズフィールドまでは2017年の完成を目指しています。人口の多い両端から徐々に作った方が線路を活用できて合理的なようにも思いますが、雇用環境の厳しい地域において雇用を作り出すという意味もあるようです。その後徐々に両サイドに延長し、2026年にはサンノゼまでがつながり、2028年にはサンフランシスコからアナハイムまでが1本の高速鉄道で結ばれるという計画になっています(フェーズ1)。その後、フェーズ2としてサクラメントからサンディエゴまでを結ぶことも計画されています。 また、並行してカルトレインの電化作業も進められることになっており、計画ではサンフランシスコとサンノゼ・タミエン駅までの区間を2020年までに電化することになっています。電化が完成すると電車のスピードアップが可能になり、電車の本数も増加させることができるようになります。
日本企業の活躍
カリフォルニア高速鉄道については、JR東日本を中心とした7社の日本カリフォルニア高速鉄道企業連合が、本計画における車両製造、信号・通信設備、運行システム等の受注獲得を目指して活動しており、日本政府も総領事館を中心にこれをバックアップしています。渡邉総領事が本年1月のカリフォルニア高速鉄道の着工式に出席したり、JR東日本の幹部とブラウン・カリフォルニア州知事の面談を実現させるなど、日本の鉄道システムの素晴らしさをカリフォルニア高速鉄道の関係者にアピールしています。世界に誇る日本の鉄道システムが、ここカリフォルニアでも実現されることを期待しています。
(本稿執筆に際しては、サンフランシスコ総領事館の菅野昌生領事に御協力をいただきましたので、この場を借りてお礼申し上げます。)
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