BaySpo 1383号(2015/05/29)掲載
カリフォルニア高速鉄道計画について
ジェトロ・サンフランシスコ・センター 師田 晃彦
師田 晃彦(もろた あきひこ)
1993年に東京大学理学部を卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。研究開発課、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)企画調整課長等の様々な部署を経て、2010年7月よりデバイス産業戦略室長として、半導体・エレクトロニクス産業を3年間担当。2013年7月よりジェトロ・サンフランシスコ勤務。

シリコンバレーの空前の好景気の影響もあって、このエリアの交通渋滞はますます激しくなっているようで、早くて時間に正確な日本の鉄道システムを本当にうらやましく思います。そのような中、本年1月6日にカリフォルニア高速鉄道の着工式がフレズノで行われましたので、本稿ではこのカリフォルニア高速鉄道計画を御紹介いたします。

 

計画の概要
カリフォルニア高速鉄道計画とは、サンフランシスコとロサンゼルスを約3時間弱で結ぶ鉄道計画で、区間の長さは約520マイル(約840km)、鉄道の最高速度は約220mph(約350km/h)で、全体の建設費はおよそ676億ドル(約8兆円)と見込まれています。 ここサンフランシスコ・ベイエリアでは既存のカルトレインの線路を活用し、サンノゼ以南は新しく線路を敷設してロサンゼルスまでつなぐ計画になっています。カルトレインの区間は、もともとは複々線化して、在来線と高速鉄道を並行して走らせる予定でしたが、現在の計画では線路を高速鉄道と在来線が併用することとされています。


今後の見通し
  高速鉄道の計画は、まずは中間部分のマーセドとサンフェルナンドバレーを結ぶ区間(IOS:初期着工区間)から工事が始まり、このうちのマーセドの南のマデラからベーカーズフィールドまでは2017年の完成を目指しています。人口の多い両端から徐々に作った方が線路を活用できて合理的なようにも思いますが、雇用環境の厳しい地域において雇用を作り出すという意味もあるようです。その後徐々に両サイドに延長し、2026年にはサンノゼまでがつながり、2028年にはサンフランシスコからアナハイムまでが1本の高速鉄道で結ばれるという計画になっています(フェーズ1)。その後、フェーズ2としてサクラメントからサンディエゴまでを結ぶことも計画されています。 また、並行してカルトレインの電化作業も進められることになっており、計画ではサンフランシスコとサンノゼ・タミエン駅までの区間を2020年までに電化することになっています。電化が完成すると電車のスピードアップが可能になり、電車の本数も増加させることができるようになります。

 

日本企業の活躍
 カリフォルニア高速鉄道については、JR東日本を中心とした7社の日本カリフォルニア高速鉄道企業連合が、本計画における車両製造、信号・通信設備、運行システム等の受注獲得を目指して活動しており、日本政府も総領事館を中心にこれをバックアップしています。渡邉総領事が本年1月のカリフォルニア高速鉄道の着工式に出席したり、JR東日本の幹部とブラウン・カリフォルニア州知事の面談を実現させるなど、日本の鉄道システムの素晴らしさをカリフォルニア高速鉄道の関係者にアピールしています。世界に誇る日本の鉄道システムが、ここカリフォルニアでも実現されることを期待しています。 (本稿執筆に際しては、サンフランシスコ総領事館の菅野昌生領事に御協力をいただきましたので、この場を借りてお礼申し上げます。)

 

 

 

有澤保険事務所

自動車保険をはじめ、火災保険、アンブレラ、ビジネス保険、労災保険、生命保険、健康保険などを取り扱う総合保険会社です。Farmers
Insurance、Blue Cross等のエージェントであり、日本語できめ細やかな安心のサービスを提供しています。

有澤保険事務所
2695 Moorpark Ave, Ste 101, San Jose, CA, 95128
http://www.arisawaagency.com

有澤保険事務所
(408) 449-4808
No Reproduction or republication without written permission
Copyright © BAYSPO, Inter-Pacific Publications, Inc. All Rights Reserved.